法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ひろがるスカイ!プリキュア』第33話 究極のちから!マジェスティクルニクルン

 姿を見せなかった虹ヶ丘ヨヨから連絡がはいる。スカイランドの湖に謎の遺跡が浮上したのだという。「究極のちから」をもとめて虹ヶ丘ヨヨと子供たちは遺跡にもぐっていくが……


 エルのキュアマジェスティごっこの相手をする虹ヶ丘ましろの表情がいい。照明をおとした屋内でキャラクターに陰影がつく、影が少ない作品では珍しい絵作りが不穏で生々しい。光源を活用した表現は同じ畑野森生演出の第17話でも見られたが*1、オーソドックスだからこそ効果的。
 本筋は異世界のダンジョン攻略で、『かいけつゾロリ』のような低年齢児童向けのアドベンチャーにとどまるが、巨大化した敵幹部ミノトンが通路を破壊しながら追いかけてくる描写はいい。
 何よりダンジョン奥の空間で展開される戦闘がすばらしい。閉所だが殺風景ではなく、直方体のオブジェがならぶことで巨大感や距離感を表現しており、そのオブジェが戦闘で砕かれることで打撃のはげしさを表現する。
 森田岳士原画か他の誰かの原画か、キュアマジェスティがミノトンを殴る一連の作画が目をひく。このシリーズでいわゆる安藤汁のような作画を見たのは初めてだ。いや劇場版などで近い表現はあったかもしれないが、プリキュアの戦いでは血を見せないことを基本としてきたシリーズで、ここまで敵の肉体を感じさせながら痛みをあたえる打撃は珍しい。
 また、EDの原画でひとりだけクレジットされている率華という名前は、会社なのかペンネームなのか判断できなかったが、検索すると伊礼えりの現在の名義らしい。マジェスティクリニクルンのバンクのコンテと原画を担当したようだ*2


 前回*3に期待した、赤子を変身させて戦わせることへのためらいは、かつて虹ヶ丘自身がプリキュアとして戦うことを望んだエピソードを引くことで、いったんの結論が出た。
 たしかに考えてみるとそのようなエピソードはあったし、エルは赤子といってもキュアマジェスティに成長すれば同年代のような姿や言動になるわけで、虹ヶ丘が自身を投影できても不思議ではない。
 ただ、あまり納得はできない。そもそも大人たちが存在するのに子供ばかり変身して戦ってきた世界観で、赤子は変身しても戦わせないという問題提起に無理があったのかもしれない。

*1:『ひろがるスカイ!プリキュア』第17話 わたせ最高のバトン!ましろ本気のリレー - 法華狼の日記

*2:バンクの作画監督を担当したキャラクターデザイナーの斎藤敦史がツイートで紹介していた。

*3:『ひろがるスカイ!プリキュア』第32話 大変身!キュアマジェスティ!! - 法華狼の日記