「正義のパトカー」は、ジャイアンの暴力に困らされた皆にもとめられて、ドラえもんがしぶしぶ秘密道具を出す。それはささいな過ちでも叩きのめす秘密道具で、のび太たちも困っていくことに……
長らく単行本未収録だった原作を木野雄副監督コンテでアニメ化。「おそるべき正義ロープ」*1と同じく、苛烈な規律で息苦しくなっていく社会を風刺する。
最初に叩きまくる描写で煙に隠す手法をつかわず、しっかりジャイアンとパトカーが互いに動きながら一方的な展開になるようフルショットワンカットで見せたことに感心した。アニメーションとして見ごたえあったし、直球の暴力描写の珍しさもある。おそらく人間同士の暴力は描写が難しいのだろうが、機械による暴力は自主規制されず描写できるようだ。
遠景に豆粒のような主人公たちを配置して芝居もさせるカットの多用もハイビジョン時代ならではか。しかし子供によってはサブスクでタブレットやスマホをつかって視聴する時代でもあり、演出としては好きだが視聴環境に左右されかねない懸念ももった。
内容は全体的に原作どおり。オチも意図せぬ行動やジャイアンの反逆で秘密道具が壊されて日常が回復するパターン。ドラマとしてはあっさりしたものだが、他の描写をふくらませながらオチだけはひきのばさなかったことで切れの良さがあって悪くない。
「22世紀で夏休み」は2019年とつい最近に放映されたアニメオリジナルストーリーの再放送。大杉宜弘コンテ、三輪修作画監督。
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ひさしぶりに見ると作画がすさまじく良い。ちょっとしたドラえもんの表情にまばたきを入れたりと細やか。モニターに映るロボット設計図のCGもそれらしい。