「煩悩を追い払え!」は、さまざまなものに誘惑され、のび太は掃除ができないでいた。そのままではお年玉がもらえなくなるため、誘惑を断ち切る秘密道具をドラえもんが出してやるが……
内海照子脚本、佐野隆史コンテ、丸山宏一作画監督。アニメオリジナル秘密道具「ぼうんのうボウシ」をつかって、大晦日らしい物語が展開される。
せっかく鐘型の帽子をかぶっているのに、叩くのは帽子から煙のようにたちのぼって鐘型にかたまった煩悩。最終的に樹木のような巨大な鐘が空に浮かぶまでになる。面白かったのはその結末の情景くらい。
子供が他人の頭をつかないように配慮したのかもしれないが、ここはやはり帽子をついて煩悩をつきだす描写にしてほしかった。人の頭をつくと危険ということは、たとえばドラえもんが帽子をかぶろうとしても頭が入らず、それに気づかずのび太が叩いてドラえもんがのびてしまうとか、失敗描写をはさめば良いのではないかと。もちろん懸念の声は出るだろうが。
ただ、ジャイアンの煩悩をはらうと身勝手なりの良心が消えるネタは、正義もまた欲望の一種という観念が背景にあるのかもしれない。もちろん深読みだとは思うが。
「さようならドラえもん」は2009年の再放送。本放送では原作で後半パートの「帰ってきたドラえもん」だったのに、なぜかサブタイトルが劇場アニメ化でタイトルに選ばれた前半パートになっている。
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「あばよ2021!ジャイアンリサイタル」はエンディングに木野雄副監督コンテで流れる。最初は笑顔でジャイアンを歓迎していた視聴者キャラクターが、すぐ困り顔になっていくところが予想されたこととはいえ楽しい。いつものジャイアンの歌ではなく、映画の主題歌をうたっているため、バランスを気にせず普段より下手にうたえているところも笑った。