「この絵6000万円」は、かつて父が師事していた画家が、今では日本を代表する存在とのび太が知る。かつて買い手がつかずに貧乏だったと知り、タイムスリップして買いに行くと……
のび太の父が画家志望だったことを描いた原作を、2005年リニューアル以降に初アニメ化。メインライターらしい鈴木洋介脚本に、元監督の善聡一郎コンテ。
基本的に原作に忠実で、冒頭の土手や過去のアトリエなど映像を充実させる方向に注力。劇中の抽象画をそれなりにちゃんと描いていて、『ブルーピリオド』くらいの説得力が感じられた。
ついでに、のび太が甘え声でねだって母が気持ち悪がる描写が、前回*1から落差を感じさせて面白い。
「おそだアメ」は、のび太が帰宅すると、無人の部屋からドラえもんの声が聞こえてきた。そしてズタボロになって帰ってくるドラえもん。空き地でリサイタル対策を相談していたらジャイアンが来たという……
2012年に映像化*2した原作をリメイク。コンテは前半と同じ善聡一郎で、小西富洋が作画監督。
口に流しこむ飴を一粒ずつていねいに作画したり、道を歩く群衆をきちんと歩かせたり、地味に手間をかけたアニメーションが多い。
失言から飴をなめることを拒絶されるアニメオリジナルの障害を、遅れる声で神様を演じる秘密道具の設定を活用して解決した展開も良かった。
*1:hokke-ookami.hatenablog.com
*2:読み返すと、原作どおりのオチをアニメアレンジとかんちがいして感想を書いていた。hokke-ookami.hatenablog.comなお、前半までは原作を活用しつつ後半から別展開になる中編が2010年に放映されている。 hokke-ookami.hatenablog.com