法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ひろがるスカイ!プリキュア』第7話 ドキドキ!転校生はヒーローガール!!

ソラ・ハレワタールが海外からの転校生として初登校。ついつい本当のことを口走ってしまうため、目立たないように努力しようとするが、ついつい体育で活躍してしまって……


門由利子の演出で、校舎を舞台としたリアルな殺陣のくみたてがアクションアニメとして良かった。作画そのものはシリーズ平均くらいだが、校舎にとりかこまれた敷地をスタジアムとして活用するところがうまい。
特殊なフィールドへ移行して安全に戦うことが基本だった前作から一転して、プリキュアがコンクリート製の柱にぶつけられて砕いてしまったり、プリキュアふたりが別々に校舎の壁を走って敵をまどわせたり、それを一般人が目撃していたことが戦闘後のモブの台詞で明らかにしたり、日常の延長で戦っていることを明確化している。


脚本は、シリーズどころか、おそらく東映初参加の加藤還一。基本的にはこれまでの物語の延長で、現地文化になじみがないハレワタールの奇行と、それをフォローしながらツッコミをいれる虹ヶ丘のドラマを描いた。
前回は化粧描写で異世界設定を活用するように設定年齢と対象年齢をすりあわせていたが、今回は学校描写で同じようにすりあわせている。今回のような自己紹介描写は、ハレワタールのような異世界人設定でなければ、設定より幼い精神年齢でないと成立しないだろう。
『ひろがるスカイ!プリキュア』第6話 伝えて!ソラの本当の気持ち - 法華狼の日記

児童へ化粧品を売りこむ販促をもとめられ四苦八苦してきたシリーズが、異世界から来て化粧文化を知らない少女に成人女性がメイクをほどこすことで、登場人物の設定年齢と反応が違和感なく整合する。

過去作のような偽名をつかわずハレワタールという苗字を堂々と出しつつ、スカイランドという出自をスカンジナビア半島という実在の地名でごまかしたりと、フィクションとリアルの配分がシリーズの通例と異なるところが目を引いた。
残念ながら、大人の視聴者でも楽しめるような密度が濃い作品ではないが、かわりにシリーズのお約束を知らないような視聴者でも理解できるようにていねいに作品世界をかたちづくろうとしている。その意味でもシリーズ初代らしさがある作品だ。