法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ひろがるスカイ!プリキュア』第38話 大空を救え! 浮き島のひみつ

 夜のスカイランドで空を移動する基準となる光ハレバレジュエルが消えてしまった。そのためスカイランドの飛行は制約されてしまう。そこでソラ・ハレワタールたちはハレバレジュエルのある浮島へ向かう。風と雲にさえぎられた浮島に夕凪ツバサのアドバイスで到着することができたが……


 村山功脚本で、ファンタジーなりにSFマインドを感じさせるていねいな設定と応用を見せていく。シリーズ構成だった『スター☆トゥインクルプリキュア』の異世界設定の良さを思い出した。
 まずハレバレジュエルが超常の力で永続的に光りつづけているのではなく、現地住人のドラゴンが光りつづけるよう努力していたことが明かされる。そのドラゴンが直立せずティラノサウルスに近い体形をしていることが興味深い。ファンタジーの設定にも科学の進歩が反映されている。そしてそれが劇中での指摘こそされないが、恐竜が鳥の祖先という生物学の知見が反映されるように飛行能力が退化していたドラゴンが自力で飛ぶ展開につながる。その補助となる丈夫な植物も前半の日常風景で登場させてから後半に応用していくので納得感がある。
 島が空中に浮かぶ異世界ならではの空間を広くつかった篠原花奈演出のアクションも楽しい。ただ残念ながら青山充一人原画の力不足を感じてしまった。今作では演出の難しい要求によくこたえていると思ってきたが*1、今回は空間の奥行きと圧縮が描けていない。たぶん食虫植物が触手をのばす描写を板野サーカスのように見せたいのだろうが、現在まで多くのフォロワーがいるとはいえ特殊技能であり、速度重視の職人アニメーターには荷が重い。触手をのばすカットの長さと多さにボリュームがあり、TVアニメの一人原画でアニメーションとして完成させていること自体がすごいとは理解するのだが。前半の浮島への突入も、よく似たシチュエーションの『天空の城ラピュタ』とついついくらべてしまい、どうしても相対評価を落とさざるをえなかった。