いろはは犬の姿に、まゆは猫の姿になっていた。それは廃墟となった遠吠神社でガオウの痕跡をさがし終えた時、ニコの能力が暴走したためだった。元にもどるパワーをえるために、笑顔が必要だとニコはいうが……
平林佐和子脚本、頂真司コンテで、作画監督は9人と東映アニメーションにしては多め。映像面では特に良さも悪さも印象に残らない、普通の回だった。
物語としては、ガオウの痕跡さがしやトラメの意図さぐりといった本筋を進めつつ、すでに予告で明かされていたこむぎとまゆの変身で気軽な面白さを提供する。
全体として気軽なつくりなのは良いとして、本筋と娯楽部分の要素が融合しているとはいいがたい。人間側が犬猫になって苦しい視点も体験するのだろうと予想していたが、こむぎとユキに逆転されてかわいがられたり、他のペットと親しくなるだけ。そういえばこの作品にはペットを虐待する人間がまだ明確には登場していない。ニコのパワーがもどって人間の姿にもどる展開もあっさりしていて印象に残らない。
一応、トラメは遊びたいだけと推察するのは今回の物語にあっているとは思う。カエルのガオガオーンは動くものしか見えないという特徴をつかって、「だるまさんがころんだ」の手法で前後から接近することで、その楽しさをトラメに評させる。これを踏まえてあらためて前半の犬猫変身を考えると、それも遊びの幅を増やすための描写だったと解釈できるが、立場いれかえという古典パターンを簡単に処理した残念さは残った。もう少し内容の密度を濃くできなかったか。