法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

国連女性差別撤廃委による勧告で、日本軍慰安所制度への言及が注目されていないという山口智美氏の指摘


勧告の中で独立した項目として言及されている日本軍「慰安婦」問題を相変わらず完全スルーする朝日の報道。報道が勧告を政府が平気で無視できる環境を作っている側面があるのでは。
www.asahi.com


共同通信が言及しているくらいで、今回の女性差別撤廃委員会勧告についての日本の報道でほとんど日本軍「慰安婦」問題が出てこないことにかなり危機感を覚えています。

 論点が多岐にわたるがゆえ、個々の報道において着眼点がしぼられてしまうのはしかたないところもあるだろうが、たしかに「沖縄の女性への性暴力」にも言及するくらい論点をひろくとりあげられている朝日記事で注目されていないことに奇妙な感じはある。
 とはいえ保守派が目の敵にするほどには、朝日新聞慰安婦報道に熱心だった歴史はない。少なくとも記事数やその増減からは話題になった時期に応じて増えているだけではないかとApeman氏が十年以上前に指摘していた。
捏造された「朝日新聞の捏造」?(追記あり) - Apeman’s diary

92年の724件は年ごとの件数でいえば97年に次ぐ2番目の多さであることを考えれば、金学順さんらの提訴が決定的な分水嶺であることがわかる。
97年に報道のピークがあるのは「慰安婦」問題が歴史教科書問題とリンクしたためである。その後急速に報道量が減っているが、「戦後n0年、n5年」という節目には報道量が増えること、アメリカ下院他で「慰安婦」決議が可決され当時の安倍首相と右派論壇が自爆した07年に報道量が増えていることなどがわかる。

 もちろん朝日新聞の何度かの一面スクープで従軍慰安婦問題の見解が進展したことはあった。しかし紙面全体の傾向としては上記のように証言者が登場した時や*1、歴史教科書問題にかかわった時、そして米国への反発があった時という、おおむね受動的な報道にとどまっていた。

*1:これを日本で一面スクープしたのが朝日新聞だが、あくまで提供された録音にもとづいて証言をつたえただけなので、記事そのものの情報量はさほど多くなかった。