2024年放映のオリジナルTVアニメ。ガールズバンドアニメの再ブームとVtuberアニメの勃興をあわせたように、はみだしものの少女たちがチームワークでライブを完成させていく。
制作会社は動画工房。現代的な風俗のとりいれなどで、P.A.WORKSが制作して同年に放映されたオリジナルTVアニメ『真夜中ぱんチ』と比較するべきなのかもしれないが、まだ視聴できていない。
そこで単体作品としての感想になるが、まず主人公がパートナーと出会うきっかけとなったグラフィティアートが幼少時に自治体に求められたもので、他のグラフィティアートに汚されたり路上ライブの背景として軽視される側という導入が良くも悪くも現代的だなと思った。そうしなければ視聴者から嫌悪感が出すぎるという判断もあるのだろう。
その延長として最後に街を自分たちの色に染める手法としてプロジェクションマッピングをつかって、街に自身を刻印せず、一過性のイベントとして終わらせる。そもそもプロジェクションマッピング自体が資本側の企画という物語の流れはあるのだが、その舞台がMIYASHITA PARKだったことにも悩む。もちろん作品自体が商業アニメなので限界があるとはいえ、商業主義に組みこまれるかたちではみだしものたちが自己を愛せるようになる結末は、はたして手ばなしで喜んでいいのか。現在に受けいれやすくなるよう慎重にコントロールしたのだろうとは思うが、ちょっと残酷な物語だと感じてしまった。
各話の登場人物の現代的な鬱屈、達成、別離、再会のエピソードそのものはよくできていたと思うけれども。歌唱のPVやライブをモチーフにしたアニメだが、最も創作の苦しみに直面するのが絵を描く主人公なところは、絵で構成されたアニメ作品ならではとも思えた。