法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『デリシャスパーティ♡プリキュア』第27話 コメコメ大変化だいへんげ !?らんのハッピー計画

シャボン玉の飴をつくろうと試行錯誤する華満に、芙羽や菓彩が協力する。妖精コメコメは少女の姿に変身して華満の弟妹とふれあうが、耳や尻尾がかわいいといわれて、逆にそれを無くしたいと願ってしまう……


伊藤睦美脚本と志水淳児コンテで敵幹部スピリットルーをめぐる物語が次回につづくが、今回はサブタイトルにあるようにコメコメが中心の物語。
青山充作画監督だが、いつもより少ないとはいえ三人原画。アクション作画があまり青山作画っぽくなかったので、そこを別の原画にまかせたのだろうか。


華満の発明は、シャボン玉の耐久性をあげるために砂糖を液に混ぜることもあるし、シャボン玉に香りを閉じこめて風味づけにつかう料理も存在する。
デザインや機能も子供向け玩具でも実現可能そうなライン。そこでてっきり販促かと思ったが、検索したかぎりではサンスター文具の一般的なシャボン玉玩具しか出てこない。

しかし華満の発明は弟妹を登場させつつ他人に子守をまかせるギミックであり、コメコメが相手をすることで無垢な幼児たちから身体的特徴を正面から評される。それを悲しむコメコメに以前のエピソードで変人あつかいされた華満が相談に乗ることで、物語の連続性も感じられた。
hokke-ookami.hatenablog.com
コメコメが特異性を隠そうとする発端から、最終的に自身の身体を肯定する流れも理解はできる。しかし、どうしても性別違和への適合手術を連想して、ファンタジー設定で寓話として描くことが難しいところだとも思った。さらに華満がコメコメの耳と尻尾をファッションで再現して周囲を巻きこむにいたっては、ブラックフェイスや文化の盗用を連想して、必ずしも良い解決ではないのでは、とも思った。
ただ、このような物語を描こうとすること自体は意義があったと思うし、さまざまな解決を真面目に試そうとしているからこそ問題の難しさが浮きぼりになったとも考えられる。あくまでマジョリティとしての感想だが、視聴後の印象はけして悪くない。


そして次回につづくスピリットルーのドラマだが、料理を食べられなくするくらいスピリットルーが料理を無意味と思っているのはナルシストルーがデータを入力したからだという話が中盤にあり、人工知能がデータにない情報で混乱する定番に設定的な説得力が出たのはうまい。
そのスピリットルーの一見すると陽気な性格にあわない価値観を和実が注目して、食事は応援と同じく心にうったえかける意味があると説明したところも、相手の理解できるよう議論する描写になっていて感心した。ただ今回は和実ではなく華満が指摘するとエピソードとしてのまとまりが良くなったかもしれない。