「カムカムキャットフード」は、ドラえもんが自分そっくりの捨て猫をひろい、なんとか飼い主を見つけようとする。そして流行っていないラーメン屋に、客をまねく猫として飼わせるが……
2007年に「ドラえもん飼いませんか？」と改題してアニメ化された原作を、鈴木洋介脚本にパクキョンスンコンテでリメイク。売れないラーメン屋のショーウィンドーに招き猫がギッシリつまっているアニメオリジナル描写が、秘密道具の暗示的な説明になるとともに哀愁を生んでいる。
むしゃくしゃして暴力をふるおうとしたばかりのジャイアンが猫を飼うことを引きうけるアニメオリジナル描写も、笑えると同時にガキ大将らしいマッチョなたのもしさが感じられてキャラクターとして面白い。そこから家が小売店のため猫を警戒する母に断られる展開も自然。
秘密道具の効果が切れているのに飼いつづけた理由として、ただ猫がかわいくなるのではなく、さびしさがまぎれるという言葉を足したアレンジも悪くない。ここは原作どおり理由もなく飼いつづける描写でも良いとは思うが、直後の逆転劇のタメとしては物悲しさを増して効果的だ。
最初に来た客がタブレットを持っているように描写して、それをドラえもんがのぞきこむことでラーメン評論家だったことを知るアレンジも良かった。現代的な改変が原作の展開を自然にしている。
最後にラーメンを作ってもらいたくなったと語りあうのび太とドラえもんが画面奥へ走っていくコンテも情感があって素晴らしい。全体としてアレンジが効果的で、地味に傑作回だと思う。
「裏山のドラえもん城」は2014年に放映されたアニメオリジナルストーリーの再放送。物語は良かったので、同じ脚本で歴史考証をしっかりした再映像化を見たいエピソードなのだが……
『ドラえもん』裏山のドラえもん城／『真実の旗印』はつねに正しい - 法華狼の日記
