法華狼の日記

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『スター☆トゥインクルプリキュア』第12話 さよならララ!?映画監督は宇宙人☆

宇宙人の存在が香久矢父に知られたと思ったところに来たのは、著名な映画監督アブラハムだった。宇宙人の痕跡を映画のマジックと説明するアブラハムに、話をあわせようとした星奈だが……


なぜか宇宙人の秘密を守るアブラハムの正体は、人型メカを操縦する小型宇宙人。そういえば元ネタと思われるシリーズの最新作『メン・イン・ブラック:インターナショナル』の公開が夏にひかえている。
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また、映画制作において劇中劇と現実がシンクロする趣向や、トラブルつづきの現場をアドリブで何とかしていく展開から『カメラを止めるな!*1を連想していると、その台詞をアブラハムが叫んでパロディと確定。
さらに天羽の芸達者ぶりや、星奈の棒読みをコメディチックに描写。そうした二重三重の楽しい映画パロディをとおして、宇宙の厳格なルールに向きあうプリキュアたちのドラマを展開する……のだが、全体として細部がつめきれていない残念さがあった。
いくらなんでも外国の映画監督が星奈たちの街にきている経緯くらいは説明してほしい。プリキュアとノットレイダーの戦いを察知して調査にやってきたという台詞がひとことあればいいだけだろう。かゆいところに手がとどく村山功脚本のていねいさ……たとえば前回いきなり宇宙船を縮小して隠せたことに、修理が終わったからという説明が細かく入る……が好印象なだけに、今回の小林雄次脚本の勢い優先な雑さがきわだってしまう。
また、アブラハムの来日について、香久矢父が納得できるくらい説得力がある建前の説明もほしい。その関連で、総理大臣がファンだからと撮影許可がおりるところも御都合主義に感じてしまう。いや、日本の総理大臣が個人的な人間関係で恣意的に優遇する問題が近年に噴出してはいるが、それの反映だとすると主人公たちが助けられたことが後ろ暗くなってしまう……
映画撮影風景も記号的に処理されているだけで、現実味や面白味がないのもつらい。多くの特撮番組を手がけてきた脚本家ならではの体験談的な舞台裏描写を見たかった。元ネタの『カメラを止めるな!』の劇中劇が健闘していたことと比べて、あまり劇中劇そのものが面白そうには思えず、それゆえクライマックスのアドリブによる感動も弱い。


角銅博之演出に青山充一人原画なので、物語こそ派手な特撮映画の制作であっても、あまり絵に力は入っていない。撮影現場は全て森の中なので、背景美術の面白味もない。
星奈たちの衣装はコスプレのようで楽しかったし、星奈がララに苗字をつけるラストシーンなどはノンクレジットで総作監修正が入っていた気はするが……