ユニとともに宇宙船で冷たい星に向かった星奈たち。出会った住人は雪ダルマそっくりで、自分の鼻を自由につけかえることができた。その鼻のひとつこそがスターカラーペンだった……
過去回と比べて童話じみた設定の物語だった。脚本は初めて異星へ行った第8話と同じだが、それゆえ路線変更したのかと思うほど。
『スター☆トゥインクルプリキュア』第8話 宇宙へGO☆ケンネル星はワンダフル! - 法華狼の日記
脚本は広田光毅で、寓話的なSFとして期待以上によくできていた。
まず、雪ダルマのような知的生物が成立しうる設定がまったく描かれていない。そうした知的生物とはまったく異なる姿の知的生物も出てくるが、やはり特に考証的な説明はされない。その両者が地球人の男女のように恋愛関係をもつことも、SFとして見ようとすると謎になる。
スターカラーペンも大切な鼻と思わせつつ、掘り出して後から刺したものでしかないので、ファッションと変わらない。異星を舞台にしながら、冷たい美女と笑える醜男のラブコメを、ちょっとファンタジーな絵におきかえただけにしか見えない。
技術的には高評価されつつも演奏者として悩んでいる香久矢に、すでに芸能で人気をえているユニが行動で導く展開を、今作ならではのアイテム収集目的で成立させたのは良かったのだが。
演出は、見ながら予想したとおり志水淳児だった。せっかく赤田信人の作画監督でアニメとしては良いのに、人物の芝居が単調で映像として面白味がない。
特に、笑顔を向けるカットがバストショットの静止画ばかりで、動きがなければ構図のバラエティもなく、ビジュアルの変化がとぼしい。ならばユニの歌唱と香久矢の演奏をクライマックスで動かすかというと、口と手のタイミングをていねいに音に合わせているものの、静止した人体で一部だけ動かしているくらいの省力ぶりで、アニメとしての面白味がやはりない。
幼い視聴者には情報量が多くて複雑な演出は好まれないとも聞くが、それでももっと見ばえのするレイアウトにしてほしいと思う。