法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『エウレカセブンAO』第十話 リリース・ユア・セルフ(episode:10 the pied piper of Hamelin)

川崎ヒロユキ脚本に、今作初の五十嵐卓哉コンテ。
空間を感じさせる空中機動が楽しめたし、峡谷を舞台とした戦闘や、対人戦闘も見られて、アクションがバラエティに富んでいた。敵の性質を利用した作戦もわかりやすく、主人公アオと隊長イビチャそれぞれの覚悟を見せるドラマとしても消化されていて、まずまず。
英字サブタイトル通り、これまでモチーフとされていたハーメルンの笛吹き男をめぐる解釈が作中で語られ、それをなぞったり反したりするように物語が進行していくところも良い。物語と物語が響きあい、印象を強める。笛吹きに導かれているのは我々大人では、と登場人物が考えた結末から、次回予告でも使われている「星の子らの叫びを聞け」というフレーズを連想したりも。
バルカン半島の内戦を記憶としてかかえる大人や、内戦における広報企業の暗躍なども*1、も踏み込みすぎず、よくロボットアニメらしくまとまっていた。

*1:それを批判するガゼルが、同じ川崎脚本の第八話においては、楽しんで捏造報道を行っていたことと好対照。今なおガゼルが自覚なく行動していることを表し、同時にレベッカをめぐる心情なども見え隠れしている。