この種の記念大作、それも世界観が独立していたはずの過去シリーズを統合しながら、一本のまとまりある作品として完成度が高く、同時に世界観を横断する大作でしか生み出せない魅力をもった作品というのも滅多にない。
海賊版という言葉になぞらえてか、スーパーヒーローの主人公を海賊にして、きちんとアウトローらしい性格に設定したことが勝因の一つ。正義感の強い過去シリーズの主人公とキャラクターがかぶらず*1、相手を食うことなく互いに魅力を際立たせる。幼年向けヒーローで5人それぞれ異なるベクトルでアウトローという個性そのものが独立した作品としても面白い。レジスタンスという立ち位置によって、巨大組織に少人数でいどむスーパー戦隊の基本フォーマットを説明づけたところも地味に好印象。
ほぼ全員が戦いなれしているおかげで、台詞での説明を抑制しながらテンポ良くアクションを展開できるという効果もあった。ちょっとした合図で武器を交換して状況にあった殺陣を披露するという初回で示したアクションのテンプレートが見事にはまった。
いったん最終回までに普通の戦隊らしくなったかと思えば、最後の最後に子供を大勢登場させてまで露悪ぶりを強調して去っていくところも凄い。善行を最後まで目的としなかったため、なぜ他人を救うのかというテーマをかすめていたところも面白かった。
過去作品の俳優も相当数が登場し、記念大作らしい満足を与えてくれた。良くも悪くも俳優を続けつつゲスト出演が依頼できた者が多いのだろう*2。
平成ライダーでは主役がシリーズごとに少ない上、メイン俳優が相当の売れっ子となっていたためか、同様の趣向の『仮面ライダーディケイド』では過去作品とは異なる俳優が仮面ライダー役として登場していた。
過去作品から俳優まで連続しているため、いくつかわだかまりを残して終わった過去作品へ、後日談として決着をつけたのも、過去作品のファンには嬉しいサービスだろう。もちろん当時の作品の雰囲気やテーマもきちんと尊重していた。