法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』

1996年、ボードゲームをひろった少年が姿を消した。それから20年後、地下室の掃除を命じられていた4人の少年少女が、古いテレビゲームを遊ぼうとしたところ、ゲーム世界へ吸いこまれた……


2017年の米国映画。1995年公開の1作目直後から始まる続編に見せかけて、公開年にあわせて現代的なゲーム内アクションを展開。
金曜ロードショーの地上波初放映で視聴した。約2時間の作品を通常の時間帯で放送したので、そこそこカットはされているはずだが、あまり違和感はなかった。
金曜ロードシネマクラブ|日本テレビ
1作目の記憶はほとんどなく、当時まだ珍しかった3DCGで表現された動物を、破壊されるセットと合成したVFXの印象が残っているだけ。しかし必要な情報は充分に示されていて、続編単独でも問題なく楽しめる。


内容としては仮想現実ゲームの魅力をそのまま描いた実写作品といったところ。本来とは大きく異なる姿で、ゲームキャラクターにそった活躍をしなければならなくなる*1
そうして『ドラゴンボール』よりも命が安い世界で、ちょっとしたトラブルであっさり死んだり殺されたりしながら、少しずつ勇気をふりしぼり友情を深めていく。
たがいに卑下したり見くだしたりしつつ、衝突を長引かせる局面がなく、テンポよく進んでストレスがたまらない。


いかにもVFXを多用した大作のようでいて、設定から感じるよりも低予算で成立できそうな内容だったのも面白い。
外見と内面のギャップは俳優の演技力で表現。舞台となるのはだだっぴろいジャングルで、登場する兵器はバイクやヘリコプターがせいぜい。VFXリソースはほとんどリアルな動物描写に使われていそう。ゲームらしい表現もさほど多くない。
しかしVFXを見せつける大味な作品ではないことは好印象だ。ちゃんとした青春キャラクタードラマになっている。ゲームも力技で押すのではなく、きちんと伏線をはってゲームルールで可能と示してから、ちょっとした工夫と応用で攻略していく。
結末も、世代差を時間改変でハッピーエンドにむすびつけるまでは予想していたが、そこから再会して恋愛でもりあげるのではなく、世代差にむきあう悲しみを感じさせるビターエンドになったのも感心した。


ただし、意外とていねいに物語をまとめているだけに、無駄が少なすぎて作為が気になるところもあった。
特に、残りライフを全員が無駄なくギリギリまで使っていったのは、途中のギャグで使い捨てる局面もあるとはいえ、終盤では綱渡りの緊張感が逆にとぎれてしまった感がある。

*1:現在の日本における仮想現実ゲームの映像作品は、潮流をつくりだした『ソードアート・オンライン』を代表として、現実とゲームのキャラクターを一致させることが多い。多少の外見を変化させても性別などを変える例は少なく、あくまで異世界で冒険するためにゲームという設定が用いられている。