法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ラストエグザイル-銀翼のファム-』#06 Over step

キャラクターは作画でこそあまり動いていないが、女主人が足を組みかえるカットのような要所に力を入れて、あとは世界観を作る背景美術設定の力を抜かなければ、充分に画面が保つということがよくわかる回だった。


国家中枢の大事が動くのと並行して主人公陣営を描くが、その主人公方面の描写が軽いところは前作と同じ。
きっちり一話で爽快感ある結末にいたって話をまとめ、伏線も過不足はない*1のだが、連続活劇としてはそろそろ主人公周辺の物語に谷がほしいところ。前後編にして今回を谷とするには話数が足りないのか、それとも前作が重すぎて不評だったところを娯楽活劇として修正した結果として軽さが出すぎたのか。
今のままでも充分に読み取れるが、賭けをした女主人側の鬱屈をもう一コマくらい掘り下げても良かったかな。しかし一方で、不敗の男が負けた後の二人の態度とか、本当の強者らしい潔さと器の大きさを感じさせるので、鬱屈をすでに振り切っていることを強調していることもわかる。


本当に悪いところらしい悪いところはなく、注がれているだろうリソースより良いものを努力して作っている様子もうかがえ、高い水準で楽しめている。しかし、どこか歪で特徴なところがないと、いずれ地味な佳作として埋もれてしまいそう。あまりインターネット上の感想ブログでも話題になっていないし、このままではもったいないな。

*1:変装に裏の理由があったことには笑った。