法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ハートキャッチプリキュア!』第12話 ドッキドキです!プロポーズ大作戦!!

川田武範演出ってこんなに上手かったか。大塚隆史twitterによると全話にSDが修正を入れているそうだが*1、そもそも長峯コンテと構図が全く違うので、少なくともコンテは川田演出が基礎になっている見ていいだろう。
まず、Aパートにおける花屋と洋服店*2の連続カットバックが面白い演出。違う場所にいるキャラクターの反応をだぶらせることで、似たものどうしな恋人の結びつきが感じられる。それぞれの店に4人、合計8人もキャラクターが集まっており、カットを飛び越えるように多様な言動を見せるため、キャラクターアニメとしても単純に楽しい。
Bパートも良い。近景と遠景を逆方向に動かすことでカメラが高速で回りこんでいるように見せたり、プリキュアに対する攻撃エフェクトを速くしたり、スピード感を感じられるアクションに仕立てている。殺陣自体は速くなくても、かなり緊張感のある画面を作っていた。


延々とノロケが続く展開は見ていて恥ずかしかったが、前述したように主人公や家族の見せ場も多く、ついでに恋人達は奥手だったので、主要キャラクターが食われることもなくコメディとして楽しめた。あえてカメラマンの父親が、人の価値は姿かたちだけで決まるものではないと恋人へ注意する気配りも良し。
永遠に枯れない花や釣り橋効果といった豆知識をはさみつつ、変則的な必殺技でしめる構成もうまい。主人公の片方が1クールで2度も必殺技をくらうアニメは『ハートキャッチプリキュア!』だけだろう。
恋人が結びつく主題に全くひねりがないかわり、今回は細部で存分に遊んでいた。


作画監督は奥山美佳で、原画には本吉悟など。
不思議と気になったので美馬健二という名前を調べてみたが、半分の話数、正確に並べると第1・2・5・7・9・12話に登板しているのか。『銀河鉄道物語』で作画監督経験もあるが、作画の安定度がやたら高いアニメだったので、個別の作画監督としての印象は薄い。それでも技術力はあるだろうし、登板量から考えると手も早いのだろうと思う。

*1:http://twitter.com/ohtsuka_takaswy/status/9755009995「全シリーズ、全話シリーズディレクターは監修していますよ。 5:29 PM Feb 27th」とあるから、少なくともプリキュアシリーズでは各SD全員が監修しているらしい。東映SDがシリーズ序盤しか直接的に関わらなかったのは、どうやら昔の話のようだ。

*2:しかし考えてみれば隣同士だよな。つい近所ということを示したくなるそこを、あえて違う場所を繋げる演出趣向で貫いたところも面白さを生んでいる。