法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第7話 シャル・ウィ・ガンダム?

投資をつのるためのパーティーが開かれると聞き、エランと再会できることを期待してスレッタはミオリネの力を借りて参加する。しかしホルダーとして登壇したスレッタは糾弾されることに……


初めてシリーズ構成ではなく米山昂が脚本を担当。トムス作品と縁の深い脚本家らしいので、大河内一楼とは『ルパン三世 PART5』で縁ができたのだろうか。絵コンテはGONZO関係の印象が強い大倉雅彦。
物語本編は「ガンダム」開発への糾弾と投資をめぐる群像劇として、真実があばかれるのか新たに対立するのかの緊張感ある駆け引きドラマとして、動きの少ないエピソードのわりには見ていてダレることなく楽しめた。学園では超然とした少年シャディクがパーティーでもひとり超然として、それにミオリネと腐れ縁という設定ひとつで説明をつけたり、子供と大人の事情が同時並行するドラマとしてはよくできている。
ただ、やはりロボットアニメに期待するタイプのエピソードではない。たとえば別会社が投資をつのる前半で、その技術を見せるためロボットを稼働させる風景を入れることはできなかっただろうか。同じくロボット開発をテーマにしたTVアニメ『ガサラキ』も地味な作品ではあったが、少なくとも序盤は兵器試験やデモンストレーションの風景を入れこんでいたことを思い出す。

『デリシャスパーティ♡プリキュア』第36話 らんがデビュー!? きらめくグルメ・エモーション!

華満一家のぱんだ軒に、グルメ番組が取材に来る。リポーターはギャル曾根と、インフルエンサーのタテモッティのコンビ。しかし華満父は緊張してうまく受け答えできず、華満もいつもの良さを出すことができない……


実在タレントゲスト回は基本的に作画を整える傾向があり、今回も例外ではなかったが、青山充単独作画監督だったので驚いた。原画も青山以外にふたりくらいしかいない。総作監や演出がノンクレジットで修正を多く入れているのかもしれないが、丸っこいキャラクターデザインが絵柄にあっているのかもしれない。
アクションも意外と充実していた。特に人物をなめてウバウゾーを見あげるカメラ構図など、プリキュアでは珍しい巨大感がある。飛び道具を適度につかって空間を横切るように攻防を描いたことも目を引いた。演出は第24話*1以来の横内一樹。


本編は、鳴り物入りのギャル曾根が意外と出番が少なく、劇中番組でコンビを組むタテモッティが物語にからんでいく。緊張しすぎて普段は見せない表情ばかりの華満がかわいそうでかわいい。しかし料理のうまいコメントを出そうとする展開で、最終的に華満がしぼりだしたコメントが実感的でもなければ具体的でもないことが残念。つまらないコメントでも恐れず出しつづけて、反応を見ながらあわせていくことが大切だ、といった意見とセットなら多少はつまらなくてもいいのだが……
なおプリキュアの物語としては、セクレトルーが何やら思わしげな態度をとっているところや、妖精が20年前においしーなタウンにやってきた記憶を思い出したり、適度な不穏感があって次回以降への興味はもてた。

『ドラえもん』宇宙戦艦のび太を襲う

「宇宙戦艦のび太を襲う」は2014年の年末SP内で放送された中編の再放送。今井一暁コンテ演出回だけあって今見ても作画はいい。
『ドラえもん』おすそわけガム/宇宙戦艦のび太を襲う/思い出せ!あの日の感動 - 法華狼の日記


「イメージベレーぼう」が今回のドラドラMiniシアター。森山博幸コンテ演出に末吉裕一郎一人原画で、ショートでも新規アニメ部分がよくできていれば本編まるまる再放送でも嬉しいものだ。
 のび太の下品な排泄物ネタをビジュアル化しないようドラえもんが必死になる天丼ギャグや、のび太ジャイアンにぶつかった次のカットでもう遠景でボコボコにされているショートカットのテンポなど、ギャグアニメとしてキレキレ。
 作画枚数は少ないが、ドラえもんの頭をのび太がかかえて指をピロピロ動かすカットや、重心を後ろにやって座っているドラえもんなど、いつもと少し違う芝居も楽しめた。

DAICONFILM版帰ってきたウルトラマンは、以前に正式な許諾をえてDVD化されているよ

『シン・ウルトラマン』のプライムビデオ配信にあわせて、かつて庵野秀明が顔出しでウルトラマンを演じた自主制作映画も会員向けに見放題配信されていた。

はてなブックマークで歓迎するコメントが集まるのも当然だが、あたかも現在では視聴困難な幻の作品であるかのような反応が少なくない。言及された記録媒体はレーザーディスクのみ。
[B! 特撮] DAICON FILM版「帰ってきたウルトラマン」もPrime Videoで配信開始

id:yoh596 タイトルそのままの二次創作(パロディ)なので当時は許容しても(鳥山明の漫画にウルトラマンなど出てたおおらかな時代)現在の商業ベースに乗せるのは?と思ったけど,そもそもゼネプロがLD(映像ソフト)化して販売してたね

id:Saint-Exupery 愛國戰隊大日本あくしろよ。 これは確かLD化されてたよね。

しかし実際は2001年にGAINAXが円谷の許諾をえて、DVD化をおこなっていた。いかにも楽しげなメイキング映像や、絵コンテ等の製作資料集HTMLファイルも収録されている。

さすがに堂々とは売りづらいDVDなためか早々に廃盤となったが、2012年の「館長庵野秀明 特撮博物館」の一環で廉価版が販売された*1
館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技

本DVDは、円谷プロダクションの例外的なご厚意により、2001年に(株)ガイナックスから発売されたDVDを、「特撮博物館」の開催を記念して期間限定で再販売許諾をもらい実現したものです。

そして現在、『シン・ゴジラ』にあわせて発売された庵野秀明実写映画作品集に、商業作品にくわえ『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令』が映像特典にふくまれている。

実ははてなブックマークでもid:takeishi氏が購入者として紹介しているが、はてなスターもついておらず注目されていない。しかしまだAmazonでも新品で購入可能であるし、他の封印作品と違って視聴不可能になることはしばらくないだろう。

*1:私が購入したのはこちら。

東京都若年被害女性等支援事業は最初から4団体に委託しているのだから、もし制度に不正があるならば1団体の問題ではない

インターネットに流れる一部情報を根拠に遠回りしながら、最終的に結論の一部に妥当な視点をふくんだnote記事を見かけた。書いたのは「opp@oppekepe7」氏。
colaboの不正疑惑に関する考察|opp|note

不正疑惑は、委託契約について地方自治法で定める適切な検査ができるように経費の信憑性を確保する措置を一切講じなかった東京都にそもそもの原因があると考える。

しかし支援団体Colaboの不正疑惑という枠組みから考えを進めているためか、はてなブックマークを見ると1団体の特異な疑惑であるかのような理解が少なくない。
[B! 行政] colaboの不正疑惑に関する考察|opp|note

id:nona_aik 運用の建付けで言えばそういう結論(東京都に原因がある)ってことになるのかもしれないけど、素人目線だとどうしても「でも、そもそも騙そうとしたほうが悪いのでは?」と思っちゃうな。もしわざとやってるなら。

id:Outfielder 「colaboの集計が水増しや架空でないことが一切確認できない」「経費の信憑性を確保する措置を一切講じなかった東京都」東京都はなぜcolabo案件だけこういう扱いにしてしまったのか。政治家の関与でもあったのだろうか

id:BIFF 現段階の疑問を過不足なくまとめてくれて助かる。納税者から見たColaboの問題点は、こうした特異な委託契約がどういう経緯で決まったのかと、このザルのような管理で税金を支出し続けて良いのかに集約されると思う。。

note記事も「「colabo事業委託」の特殊性」という章を立て、複数団体に委託されている情報が書かれていない。はてなブックマークで指摘するコメントは初期にひとつだけで、無視されている*1

id:asumi2021 ようやく補助金と委託金の違いが認知されてきた/「「colabo事業委託」の特殊性」 他の団体も委託契約しているんだが…/適正化されて夜間アウトリーチ活動を成果とすると、逆に経費は見えなくなるのでは?

東京都の公式ページにあるように、委託先として4団体が明記されている。これは事業がはじまった時から変わらない。
東京都若年被害女性等支援事業 東京都福祉保健局

東京都では、下記の民間団体に事業の一部を委託し、東京都若年被害女性等支援事業を実施しています。

・一般社団法人 Colabo
特定非営利活動法人 BONDプロジェクト
特定非営利活動法人 ぱっぷす
・一般社団法人 若草プロジェクト

ちなみに「モデル事業」とも呼ばれるように、この事業はもともと厚労省が主導して*2、東京都だけが参加したのでモデルケースとなった。
国会会議録検索システム

厚労省としては、来年度予算案において婦人相談所等の公的機関と民間支援団体とが連携した支援体制を構築していくと、こういう観点に立って、地方自治体に対する補助事業として若年被害女性等支援モデル事業の創設を盛り込んでおります。
 具体的には、民間支援団体による夜間の夜回り、声掛けなどのいわゆるアウトリーチ支援、居場所の確保、相談支援の実施に対してこれは助成を行う、それから民間支援団体、地方自治体、ハローワークなどの関係機関が連携して支援するための会議を設置する、こういったことを想定をし、具体的なモデルになるような体制をまず構築をし、それを全国展開を図っていきたいと、こういうように思っております。

共産党の権力でColaboが東京都の税金を支出させているかのような主張は、現時点では陰謀論というしかない。


また、この事業がおこなうのは街を巡回しての声かけなどだ。つまりは不特定多数への支援であり、活動の回数や経費に比例した成果は約束できない。
それでもColaboを税金で活動している団体として解釈すると、水増し請求どころか数倍以上の無理をしていることになる。まさか東京都が出せる経費をつかいきれば活動を止めるべきと主張する人はいるまい。
はてなブックマークで「追加請求」の可能性に言及するコメントがあったが、そのような税金の追加支出をさせない制約をもうければ、計画と実際の経費に差額が生まれるのは当然だ*3

id:natu3kan 高額な品の経費通すのに、買いましたって報告だけでお金降りるのは普通の会社でもなかなかないもんな。しかも買ってみないと正確な価格が不明なら、後から実際にかかった費用を見せて、追加請求や返金するだろうし。

もし逆に、Colaboが実際の経費を計上すれば東京都が追加でしはらうようになれば、「opp@oppekepe7」氏らは「不正」がなくなったと喜ぶのだろうか。それならば税金が数倍以上に支出されることになって、Colaboにとっても良いことなのかもしれない。
それは先述した成果を約束できないことの逆転で、支援の実態がなくても経費を請求できる事業になりかねないが、形式的には「opp@oppekepe7」氏が主張する「不正」ではないことになる。
つまるところ行政がやるべきことを民間にやらせて一部の補助ですませ、公金を福祉につかいたがらない社会のありかたに根本の原因があるのだろう。この事業だけの問題ではない。

*1:はてなスターはひとつだけ。ただし他にもnote記事の理屈を批判するコメントはある。

*2:引用した発言は厚労相をつとめた自民党加藤勝信氏。

*3:差額が生まれる原因が他にある可能性を否定するわけではない。