法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『貞子3D』

 ある自殺者の配信映像が若者のあいだで話題になっているらしい。それが気がかりな教師の周囲で不審な自殺があいつぐ。やがて自殺事件の謎を追う刑事と協力して、すべての根源へとたどりつくが……


 後に漫画の実写化作品を多く手がける英勉監督による、2013年の日本映画。鈴木光司の『リング』シリーズの一短編を、オリジナル展開を多く足して映画化したという。

 続編を見る前に全長版を視聴。基本的な感想は下記エントリと変わらない。シリーズに期待されていないC級クリーチャーホラーとしては意外と楽しかった。
hokke-ookami.hatenablog.com
 感想で書いていないところをいうと、橋本愛が演じる貞子の美少女ぶりはシリーズのなかでも突出している。登場した少し後に白目部分をVFXで赤くするような即物的な表現が雰囲気を壊していくが。
 他に感想を書いていない部分として、主人公の恋人の友人が唐突に高架下にあらわれて、異常に笑いながら不思議な話をはじめるシークエンスは良かった。勝手に情報がとびこんでくる展開は謎解きとしては安易だが、白昼でありながら不思議な雰囲気があってホラー演出としても悪くない。


 しかし自殺したアーティストが貞子を復活させて全世界を呪おうとする理由が、作品がパクリとしてバッシングされたというバカバカしさはどうかと思った。それで何人も女性を殺して井戸に投げ捨てる儀式をしたわけだが、たとえ呪いが存在しなくても大事件になるはずで、もう少しまともな動機を設定できなかったものか。ちょっとインターネットユーザーをバカにしすぎではないだろうか。
 あと、少女や主人公の恋人が呪いの動画をさがして視聴しようとする動機が全長版を見ても理解できないことも疑問だった。面白半分でさがしているにしては熱心すぎるし、それでいて勝手に再生がはじまった時には驚き恐怖する。呪いの動画を信じているわりに対策していないことが不思議でしかたない。自殺した友人のため呪いの動画を自分もさがそうとする少女も、やはり対策していないので再生がはじまった動画におびえるだけ。
 そもそも、この呪いの動画は貞子の器をさがすために存在していて、勝手に再生がはじまったりするので、わざわざ登場人物がさがさなくても物語は問題なく成立する。たとえば迷惑メールにURLが記載されたりファイルが添付されたりする描写なら、ずっと自然に物語が成立するはずだ。