拡散された杉下右京の配信映像はAIをつかったフェイクだったが、警視庁は本物あつかいして杉下と甲斐を謹慎させる。しかし自由になった杉下は独自に行動をはじめ、ひとつの真相に気づいて武智淑郎官房長官へ接触。しかし秘密裏に招かれた邸宅で武智は殺害されていた……
最終回SP後編。前編*1で印象深かった政治学者は再登場せず、政治学者を襲撃した少年の背景も早々に解決する。
ただ、そこで反権力の政治学者を起用した気骨あるはずのプロデューサーが、実際は権力に加担していたという構図の逆転を杉下が推理したところは良かった。輿水脚本らしいミステリのエッセンスを感じる。
今回に発生した殺人事件もシンプルだし、現場にいあわせた杉下の推理は根拠薄弱なものの、やはり構図の逆転劇には面白いところがあった。組織のなかで閉塞した状況に追いやられた正反対の人物が協力することになる展開は、一種のダークヒーローであり「相棒」でもある。トリックとしては交換殺人の一種。
推理の最中にエンドテロップが流れるあたりも、解決編を重視するミステリらしさがある。敵も味方も上も下もAIを活用して罠をかけあって状況が無駄に混沌としてしまった感じはあったし、もっと整理すれば政治を舞台とした本格ミステリとして切れ味が良くなっただろうとも思うが、期待しすぎなければ悪くない回だった。