「人生が一変した人たち」は、ひょんなことから大金を入手したり、人気をあつめたりした人々を紹介。
売れずに引退した俳優コンビが見知らぬ老婆から謎の遺産を贈られたのは、老婆がふたりの大ファンだったため。
貧乏な夫妻が友人に紹介されて売買することにした家に、ピナジアンという人物が描いた絵が大量にのこされていた。鑑定しても価値はないようだったが、展覧会をひらいてみると次々に売れていき、夫妻は展覧会を何度もひらいて価値を高めながら売りさばいて利益を出せたという。検索するとアーサー・ピナジアンは抽象画家というだけでなくアメコミ作家でもあり、いくつか人気キャラクターもつくりだしていたらしい。
最後は金正恩、ゼレンスキー、プーチンのそっくりさんの出会いを紹介。冗談めいたイベントをおこなおうとする金正恩そっくりさんだが、ロシアのウクライナ侵攻によって難しい立場になった残りふたりは拒絶する。風刺で無責任をつらぬくことの難しさというものを逆説的に感じた。
「親友は17年まえに誘拐された姉」は、1997年に南アフリカのケープタウンの病院で赤子が誘拐されたことによる数奇な騒動を紹介。
長女が誘拐された夫婦だが二女を産み、他にも弟や妹を産んだが、長女の事件もあって離婚してしまった。しかし二女が進学した高校で、よく似た容貌の先輩と仲良くなり、誘拐された長女と判明する。
ここまでは他にも似たような事件の紹介を見たこともある。しかし実家にもどった長女は産みの親が人気とりのようにマスメディアに登場することを嫌悪して、育ての親のところへもどっていった。さらに産みの親を批判するような暴露本も出版。
しかし長女もまた子供を産み、ひとりの親となったことで子供がうばわれた産みの親の気持ちを想像できるようになった。誘拐した育ての親への愛着をのこしつつ、産みの親とも和解。産みの親が再婚することも助けたという。
途中まで『八日目の蝉』などのフィクションも連想したが、年月をかさねて二転三転する心情のドラマとして印象深かった。被害者が被害を認識する難しさを映したドキュメンタリとしても興味深い。
「沈没船からお宝発見」は、米国ノースカロライナ沖に沈んだという200年前の蒸気船プラスキ号を調査する。
発見された宝を後追いで調査するのではなく、調査に同行するタイプのドキュメンタリ。このタイプでは珍しく、実際に原型をとどめた沈没船の一部を発見し、さらに高価なコインも見つける。
海底で見つけた小さなコイン3枚だけで1500万円の価値があり、その後の調査で多数のコインや遺物が見つかったことを紹介。ちゃんと調査費用の元がとれそうな宝探しドキュメンタリは滅多にない。