法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』思わず笑っちゃう 下手くそか! SP

冒頭のミニ映像コーナーの最後に、スウェーデンでバス専用レーンの入り口にバスの車高とタイヤ幅でしかとおれない障害物をつくった逸話を紹介。
しかし障害物の告知が見えづらく意味もわかりづらいため、次々に普通自動車が入りこんで障害物に引っかかって動けなくなる。そのまま後退することも難しく、人力で協力して乗りあげた状態から戻すしかない。結果として専用レーンの渋滞がひどくなる。
そこでバス専用レーンということを注意する人員を入り口に用意するわけだが、それならば最初から障害物などをつくらず人員を用意するだけで良かったのでは?という当然の指摘がされる。
どう考えても排除したい存在が来た時に停止させる設計が良くない。少なくとも障害物の直前で別レーンに移れるようにするべきだし、入りこむと動けなくなるような障害物ではなく踏切のようにして開ける信号を出す機械をバスに載せるなどの解決策などがあるだろう。


米国からは料理下手を集めて成長を競わせるリアリティ番組『Worst Cooks in America』を紹介。テレビ朝日系で2008年までやっていた『愛のエプロン』を思い出す。
検索すると2010年から現在までつづく人気番組らしいが、良くも悪くも米国は失敗も豪快。もちろんリアリティ番組なので出演者も選んでいるだろうし演出もあるだろうが、スタジオで料理下手はよく笑うという指摘は納得感ある。


やはり米国からはヘタクソすぎて受けた低予算映画『バーデミック』を紹介。前半40分近くラブロマンスがつづき、後半の鳥の襲撃は監督がパソコンで合成した稚拙なCG。監督手製の宣伝カーや、稚拙すぎる内容が逆にマニアに受けてメディアでとりあげられるほど大ヒットした。

鳥の襲撃というモチーフやロマンスと襲撃の時間配分、ガソリン給油中に鳥が襲ってくる描写にヒッチコック監督の『鳥』*1そのものだと思っていたら、ベトナム移民の監督は若いころに『鳥』を楽しみ、そのような映画を作ってみたいと百数十万円の制作費をかきあつめて作ったのだという。映画の文化の力を感じさせるし、マイノリティの立場で劇映画に逃避する姿は『エド・ウッド』のようでもある。
ちなみに二匹目のドジョウをねらって数千万円の制作費がついた『バーデミック2』はわざとらしいとして大失敗。海鳥を出す『バーデミック3』を制作しようとする姿でドキュメンタリは終わったが、スタジオの情報によると今年秋に公開予定、クラウドファンディングで700万円ほどの目標をたてたところ8万円くらいしか集まらなかったとか。


最後は中国から、十年前に誘拐された息子をさがすため自転車で旅をする男を紹介。中国では男子欲しさの誘拐が多いといい、男の友人も息子を失っており、途中で誘拐され買われた青年も出てくる。
チラシに描かれた現在の似顔絵は精緻だが、無理にたのんで想像で描いてもらったものにすぎず、見せられた人々からも想像にすぎないと指摘される。警察にたのむべきではとも指摘されるが、なぜか男は迷惑になるからと断る。
さまざまな町や村で誘拐された子供がいないかを聞いてまわるが、そのような危ない地域ではないと反発される。実際には誘拐があっても反発するだろうし、男の手法は稚拙にしか見えない。
しかし次男を老母とともに実家に放置して、嫌気がさして妻が出ていくほどの男の行動は、目を離した隙に長男を誘拐された悔恨からきていることもわかってくる。妻に説得されていったん実家にもどってドキュメンタリは終わったが、未解決の犯罪が被害者の時間を止めてしまう問題が浮かびあがってくる。男の不器用さや出会う人々の人間模様もふくめて、ひとつの犯罪被害のドキュメンタリとしてはよくできていた。
ただ、それほど社会にはびこる問題なら個人で行動せず、同じような被害者家族で協力して団体をつくって情報交換などをするべきでは、といったことは思った。家族の情報が集積されれば、途中で出てきた被害者の青年も実家にもどれる可能性が高まるのではないだろうか。
しかし視聴して少したってから気づいたが、そもそも父親の行動は個人で世論を喚起する手段であったのかもしれないし、受けとる側がそうできたのかもしれない。不器用な人にもっとうまくできないのかと思うなら、器用な人々が何かをすべきなのだろう。