法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』酒の泳ぐ川/かしきり電話

「酒の泳ぐ川」は、のび太が父親に高級酒を好きなだけ楽しめるようにするため、ドラえもんに相談する。ドラえもんは鮭と酒を聞き間違えて安請け合いしたが、間違いに気づいて……
 2012年に八鍬新之介コンテ演出でアニメ化*1された後期原作をリメイク。今回は木野雄副監督がコンテをつとめる。
 環境保護のたいせつさが注目されていた時代に、それをそのまま描写するストーリーをナンセンスなビジュアルで展開するストーリー。ラストカットなど、より原作に忠実になった。
 日本社会が環境保護を選択的に軽視や嘲笑するようになった昨今、あらためて映像化する意義があるエピドードだとは思う。しかしだからこそ現代的にアップデートした知見もとりいれてアレンジしてほしいとも思った。
 たとえば稚魚の放流は資源回復に逆効果という研究が通説になりつつある。生息環境の復元が重要という新たな知見をとりいれれば、むしろ原作の結末を力強くささえられるはず。
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「かしきり電話」は、ジャイアンリサイタルが雨で中止になって喜んでいたのび太だが、ジャイアンに代替の会場を見つけるよう要求されて途方にくれる。なんでも十円で借りられる秘密道具をつかうことにするが……
 末期原作を三宅綱太郎コンテ演出で2005年リニューアル以来の初アニメ化。
 内容は原作に忠実。はっきり追加された描写というと、野比父ひとりだけ乗った旅客機内で複数のキャビンアテンダントに世話されたり、自由に席をうつす歓待に逆に微妙な居心地の悪さを感じたり、といったところ。
 水たまりだらけになっている空き地や、最後に剛田商店内リサイタルなど、背景美術を描きこんでストーリーをささえているところが印象に残った。