法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』あしたの新聞/ねながらケース

「あしたの新聞」は、のび太がみんなに教えようとしたニュースは、昨日の新聞に書かれた流行おくれの話題だった。父親がもっていくため一日遅れでしか新聞を読めないのび太のため、ドラえもんは秘密道具を出すが……
 中期原作を2005年リニューアル以降で初アニメ化。村山功脚本、三宅綱太郎コンテという布陣で、かなり原作に忠実な映像化がされている。
 細かい変化として、原作ではたんたんと段取りのように進行する留守番を、夜に見知らぬ家で犯罪者を待つサスペンスタッチに描写。帰ってきた家主がのび太へ指をさす描写も、あくまで注意は妻に向けている原作と違って、のび太を見すえて追及する正面からのカットを追加している。
 下手な怪談回より恐怖をうまくもりあげていて面白かった。いずれ夏の怪談回を三宅コンテで見てみたい。


「ねながらケース」は、のび太が夜中に目ざめて、宿題をやらなければならないことを思い出す。しかし宿題の難しさに断念してトイレに行って寝なおそうとすると、物音が聞こえてきた……
 後期原作を2005年リニューアル以降で初アニメ化。絵コンテの岩岡夢子は、ドラドラMiniシアターには参加していたが、本編に参加したのは2021年の「しずかちゃんSOS」*1以来。
 こちらものび太がトイレに入っている時に背後で物音がする描写や、珍しいダッチアングルなどでホラー色がある。
 しずちゃんを待っていたのび太が物音で見にいったところ、昨夜と同じく父親が出ていったという肩透かし描写も地味に良かった。原作では物語に関係ないので省略しがちな描写だが、これがあるとストーリーの連続性がたもたれて作品世界が強固に感じられる。
 スネ夫から借りたゲームもバラエティがあって、劇中できちんと作画で動かしていて楽しい。負けつづけてストレスがたまるなら、対戦ゲームじゃなく協力ゲームをすればいいのにと思ったが、それだけゲーム風景がそれらしいということでもある。
 のび太が寝ながら謝るオチもしつこい動きをしっかりアニメーションで描写して、スネ夫が迷惑に感じている姿に共感できる。今回はプロットは原作に忠実で、しつこさを感じることがポイントな場面でしっかり追加描写することで良さをふくらませていた。