今回も2005年リニューアル以降で前後とも初アニメ化。意外と未アニメ化エピソードが残っているのか。
「上げ下げくり」は、宿題ができていないからと学校にいきたがらないのび太を説得するため、ドラえもんが一度だけ予定を変える秘密道具を出す。今度こそ明日までには宿題をするというのび太だが、結局は遊びに行って……
後期原作ののび太らしく、ひょうひょうと秘密道具をつかう。その内容は、ちょうど今期の『トロピカル～ジュ！プリキュア』の敵を思わせるストーリー。
ボール飛来のくりさげを止めたため、源母がのび太の頭にボールをぶつけた原作どおりの展開から、謝る一瞬を追加したことが微妙にいい。原作の行間にあっただろう描写なので、このアレンジがないとTVアニメでは逆に不自然になるだろう。
絵コンテは木野雄副監督。描線がなめらかな曲線で太くなっている作画スタイルが目を引いた。しかし漫画の描き文字を作画で画面に映す演出が謎。リニューアル前は徹底的にさけていたので、どうしても違和感がある。
「貸し切りチップ」は、スネ夫が友人にやらせているゲームの順番をジャイアンに横取りされ、しずちゃんとの時間も出木杉にとられたのび太が、ドラえもんに泣きつく。ついにTV番組までとられたのび太を見かねたドラえもんは……
TV雑誌の表紙に旗本カンナが再登場。メインは原作にいる伊藤つばさだが、撮影するドラマの内容が『ガールズ&パンツァー』っぽい。冒頭もニンテンドースイッチっぽいゲーム機でスマッシュブラザーズっぽいゲームを遊ぶ描写になったり、上映中の映画が配信でも視聴できたりと、原作のカルチャー描写が現代的にアレンジ。
そして前者はふたり以上のほうが楽しいとスネ夫が指摘するからこそジャイアンがひとりで楽しむ強欲ぶりが強調され、後者は映画館で見てこそ楽しいとのび太が主張することでオチの深みを増している。
ついでにドラえもんが猫とデートする描写が魚屋貸し切りとなり、いけすで泳ぐ魚たちを水族館のように楽しむ。
物語そのものは原作を忠実に、そして設定はディテールだけ現代的にするのではなく、もとのストーリーを細かく支えるように工夫をこらしていた。
