法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

自民党の山田太郎氏がインボイス反対や啓発ポスターに冷淡だったことを思い出している

 ライターの昼間たかし氏による、山田氏の過去から現在までを簡単にふりかえった記事が注目をあつめていた。
“オタクを守る議員”は虚像だった…“不倫報道”の山田太郎政務官、取材を重ねた記者が明かす違和感 | 日刊SPA!

今日まで、山田氏の虚像は肥大化し続けた。物書きの中にもその虚像になにかの利益を見いだし進んで提灯記事を書き連ねる者もいた。とりわけ支援者の狂信を露わにしたのはインボイス制度の問題だ。

 個人事業主の多いオタク業界で多くの人々が悲鳴を挙げる中で山田はこの訴えをスルーし続けた。支援者たちは、そのことで山田氏を批判することはなかった。

 昼間氏がWEBメディアおたぽるに寄せた2017年の選挙ルポタージュ記事を素材に、追加取材とともに簡単にまとめた内容といったところか。
【人物ルポルタージュ】29万票の金利~山田太郎と「表現の自由」の行方|おたぽる
 残念ながら2017年の時点で昼間氏は山田氏への興味がうすれたらしく、今回の記事の情報量はあまり多くはない。


 ただ、はてなブックマークがあつまったなかに、インボイス制度に反対する必要がないというコメントがあって悩んでしまった。
[B! オタク] “オタクを守る議員”は虚像だった…“不倫報道”の山田太郎政務官、取材を重ねた記者が明かす違和感 | 日刊SPA!

id:hom_functor オタクを守るならインボイス反対しろがまず論理破綻。不倫は論外という話でオタクキモいのお気持ちという関係のないものが正当化できちゃう理性の溶けたヘイター向けの餌

「オタク」を無責任な消費者にかぎると考えれば、多くの創作者にかかる負担は直接の関係はないのかもしれない。しかし「オタク」という言葉は、過去に若い創作者がつかっていた二人称という説もある。消費と創作の立場が完全に分断されていないことが「オタク」と考えれば、インボイス制度への反対も重要ではないだろうか。
 山田氏が昨年にインボイス制度をほぼほぼ停止させたという、いったいどこの情報かわからないコメントもついている。

id:KoshianX 山田太郎議員が去年インボイス制度をほぼほぼ停止に追い込んでたの知らんのかいな。財務省に政治的に敗北したと本人が表明してたのに。昼間たかしこんなデマ記事書く人だっけ……

 しかし昨年の話をしている時点で、少なくとも今年の施行に対して抵抗しなかったことは認めているようなものだ。本当に自民党とはことなる個人の支持勢力が山田氏にあるなら、造反とはいわないまでも抵抗しつづける選択肢はなかっただろうか。


 山田氏といえば、こども家庭庁のたちあげにもかかわっている。しかしそのこども家庭庁が出した啓発ポスターに対して、表現を守るどころかとりさげをもとめたことがあった*1
社会全体で性暴力の問題を共有しようという啓発ポスターについて、与党議員がとりさげさせようとする理由がよくわからなかったが、某大学教授の批判で少し見当がついた - 法華狼の日記

自民党山田太郎氏の発言はまったく具体性がない。山田氏によって啓発や表現が抑圧される懸念はあるが、反論や議論する材料がない。


4月13日、本件ポスターについて作成元の内閣府男女共同参画局、その他、法務省、こども家庭庁等からレク。私に寄せられた多数の問合せ等も踏まえ、様々な問題点や疑問点について質問するも何点かは宿題で後日回答に。本日説明を聞いた限りでは、一旦取下げた方がいい。

 他のリプライや引用リツイートにはさまざまなポスター批判があるが、性暴力という概念を否定せずにそれなりに合理的な意見は、男性が被害を受ける場合を描いていないといった意見くらいか。

 表現が行政によるものであれば、議員の介入が必ずしも表現の自由への侵害になるわけではないが*2、性行同意にまつわる山田氏の見解に疑問があるとなれば話は別になる。

*1:なお、ポスターをふくむ啓発コンテンツ全体は絵柄の類似が問題視され、おそらく山田氏とは異なる理由でとりさげられた。こちらのエントリの注記を参照。 一方が「怖くて何も言えなかった」と明らかに感じているのに「フラット」な関係と断言してしまう人間がいるかぎり、啓発ポスターの意味はある - 法華狼の日記

*2:ただ、行政が採用したコンテンツが批判によってしりぞけられるだけでも表現の自由の危機と考える立場であれば、山田氏の介入そのものが批判されてもおかしくはないとは思う。