法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』ドキドキもハラハラも止まらない! 命がけ!キケンな冒険SP

「究極の火山探検」は、世界各地の危険な火山に接近してデータを集め、研究家にわたす探検家が登場。
 最初はコンゴ共和国という、国家自体がかなり危険な地域におもむき、2021年に大噴火したニーラゴンゴ山の火口に降りていく。採掘場のような巨大な段々の火口にロープで降りていくわけだが、機材を落としたりして、けっこう危なっかしい。危険な冒険をしているというより、まるでアマチュアのような印象だった。しかし700mもおりた火口の底はすさまじい情景で、平たい地面の割れ目をよく見ると溶岩が流れている。地表温度は500度もあり、耐熱服でもたえられず、あわてて別ルートで溶岩湖に接近した。
 次にエチオピアで海面より低い位置に火口があるエルタ・アレ山を探検。砂漠の道中で硫黄をふくんだ黄色い毒の池にたちよったり、現地人が木の棒を地面につきたてて塩をほりおこしている光景を見かけたり。しかし気温が50度を超えることもある暑い砂漠だからといって、半ズボンで探検しているところは気になった。案の定、かたまったばかりで厚い殻のような溶岩石の地面を歩くと、体重で割れて足をとられて傷ついていく。今回は火口付近が1000度もあるのでドローンで撮影していたが、もっと最初から安全に気を配るべきではないかと気になった。


チンパンジー宇宙飛行士」は、1961年に米国がうちあげた宇宙船に乗せられたチンパンジーのハムと、空軍の世話係を担当したジェフの物語。
 最初は65番と呼ばれていたハムは、人間と距離をとって肉体も弱く、最初は合格しそうになかった。しかしジェフが親身に生活をともにし、なつかれるなかで、ハムは才能を発揮していく。ライトの点滅にあわせてレバーを操作するテストを難なくこなし、最終的には人間が負けそうなくらいの反射神経で成功させる。水を飲むための自動装置も捜査できたし、遠心力で重力加速度にたえるテストなども合格。しかしジェフはテスト合格がハムにとっては危険にさらされることと同じだと思い、葛藤するようになる……
 もちろん有名な史実どおりハムの宇宙旅行は成功し、動物園で26歳まで生きたという後日談が語られたわけだが……ハム以前にも多数の猿がロケットで打ち上げられ、そのほとんどが死亡したという情報を説明しないことが気になった。その説明があれば単純な美談ではなくなるし、同時にハムの実験が成功するかどうかのサスペンスも高まっただろうに。


「南極基地の引っ越し」は、2016年に南極基地ハリー6号の近くにクレバスが発生したため、氷床ごと流される前に移動する計画を追う。
 2013年に完成したハリー6号は巨大な4本のジャッキで巨大なカプセルが空中にもちあげられたような姿。そのカプセルが一列に連結され、研究や調理、生活のための空間となっている。しかも4本足のジャッキひとつひとつにソリをつけることで、牽引して動かすこともできる*1
 その準備として観測機器や食料などを近くに設営したテントに運びこみ、氷上の道路も整備して、カプセルを切りはなしてひとつずつ移動させようとしたが、ちょうど吹雪に見舞われる。天候が回復してからは道路を除雪し、カプセルひとつずつ3台ほどの車両で4時間かけて23km先まで動かしていった。しかし移動には成功したものの、近くに新たなクレバスが見つかった。一度の移動には15憶円もかかるため悩んだ末、半年以上も基地を放棄するはめに。最終的に安全が確保されてハリー6号は再び南極基地として稼働しているという。
 まるで2002年のアニメ『オーバーマン キングゲイナー』の「エクソダス」を思わせる光景にワクワクした。過酷な問題でも準備と技術で克服できるという展開に、今回の番組のテーマを裏返したような楽しさがある。

*1:こちらのコラムによると、5号は棚氷が崩壊しそうになったため15年で解体されたという。その対策としてコンペをおこなって世界中からアイデアを集めた結果が6号だという。 www.wakuwakuchintai.com