「アニメばこ」は、人気漫画をのび太たちが楽しんでいると、スネ夫がアニメ化されたDVDをいち早く入手したという。鑑賞会からはずされたのび太のため、ドラえもんが漫画をアニメ化してやるが……
末期原作を2005年リニューアル以降で初アニメ化。企画から過程をふんで自動でアニメをつくっていく「アニメーカー」とは異なり、いきなり完成品としてアニメが提示される。
アニメオリジナルで先月に放映された「本はおいしくよもう」*1のシュバイツァーの伝記をアニメ化して内容を知ったり、アニメ化する漫画が『進撃の巨人』や『SPY×FAMILY』のパロディだったりしたが、意外と印象は単調。
原作の見どころは隠したいものをアニメ化して見られてしまうオチにあり、途中のアニメはどのような内容でも成立する。逆にいえば、途中のアニメは単独で楽しくしなければならない。原作からある『スーパーコアラッコ』にたっぷり尺をとったように、パロディ作品なら絵柄からあわせていっても良かったのではないか。
だからこそ、今回の後半にあわせるようにジャイ子ちゃんの漫画もアニメ化したアニメオリジナルは良かった。よくある難病の悲恋をバカバカしくパロディした内容で、これがもしシリアスのつもりなら面食らうが、ギャグとしては普通に完成されている。
「ジャイ子の新作まんが」は、ジャイアンがドラえもんたちに相談にやってきた。同人誌のしめきりがせまるなか、ジャイ子ちゃんは漫画のネームすらできていないという……
2006年にアニメ化された短編のリメイク。2006年版は前後ともジャイ子エピソードを原作から選んでアニメ化したが、今回は前述のように前半のアニメオリジナル描写で連続性をつくっている。
基本的に原作にそった映像化で、今年3月にアニメ化した「泣くなジャイ子よ」の続編として楽しめた。脚本こそ伊藤公志に変わったが、コンテ担当は同じパクキョンスン。
目を引いたのは、原作では一コマで処理されているタイムマシンをつかった資料撮影を、今回のアニメではいくつものカットで描写したこと。素人目には、ちゃんと資料を引いてリアルな情景にしているように見える。そうしてディテールが物語の説得力を高めるドラマを作品自身で体現していた。
ジャイアンの暴走が増えて、締め切りをのばす提案だけの原作を超えて茂手家に押しかけようとしたり、昭和のような漫画家の無茶エピソードを見るような面白味もあった。