法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』落ち葉とジャイ子/しずかちゃんになったのび太

今回は、オー=ヘンリーの『最後の一葉』をパロディしたアニメオリジナルの前半と、原作に忠実だが強調がひどい後半と。


「落ち葉とジャイ子」は、『最後の一葉』を読んだジャイ子が入院し、物語のようにモミジが全て落ちれば自分も死ぬのだと思いこむ。一方、のび太たちは落ち葉に乗って落下する秘密道具「落ち葉ンジー」を楽しんでいた……
原作の後期では最も乙女なキャラクターへ変化したジャイ子らしいエピソード。物語に感化されるところも漫画家志望ならではか。全く異なるドラマが同時並行で描かれ、やがて影響を与えあっていく構成も面白い。
ただ根本的な疑問として、落ち葉に乗ってゆっくり降りていく姿は、どう見てもスカイダイビング。落ち葉を枝にとどめるためバンジーを使ったりもするが、それもパラシュートの紐を枝にひっかけるとかでも良かったのでは。


「しずかちゃんになったのび太」は、しずちゃん達と約束したのび太だが、ママから草むしりをいいつけられていた。そこで「フリーサイズぬいぐるみカメラ」で着ぐるみを作り、うまく変装してたちまわろうと画策する。
今回のアニメ化では姿だけ変えて声優は変えない。偽者とわかりつつ違和感があからさますぎないよう演じる声優の技量が楽しめた。ママの首だけがドラえもんになる描写や、アニメオリジナルで早変わりするスネ夫のアイデアなど、ビジュアルも面白い。
しかし展開は原作と同じだが、少しのアレンジで印象が変わっている。そのポイントがスネ夫の行動。原作では、のび太の着ぐるみをたまたま見つけて着こんだら、出木杉にかんちがいされてクッキー会に参加することになった。今回のアニメ化では、出木杉と会う前から変装してジャイアンへボールをぶつけたりして、のび太へ意図的に罪をなすりつけている。
今回のアニメ化では、のび太へのしっぺ返しが原作より強調されたわけだが、そのため罪をおかしたスネ夫は罰されることなく利益をえた。これでは因果応報や自業自得とは感じにくい。原作も後味がいいわけではないが、意図しなかった者こそが利益をえたという皮肉があった。その皮肉さを強調する方向でアニメ化してほしかったな。