「四次元たてましブロック」は、のび太たちが二階で丸めた布団でたたきあうスポーツを考案して楽しんでいたところ、一階の母親に怒られて禁止される。そこで家の階を増やす秘密道具を出して……
2006年に三宅綱太郎コンテでアニメ化した中後期原作を、今回も三宅綱太郎コンテ演出に嶋津郁雄作画監督で安定した映像化。救急などのリアルなタワーマンションの問題を風刺したコメディ回となっている。
色が分離するカメラレンズ的な効果を、建て増しした動きの演出として利用。最初は特筆することもないアレンジだと思ったが、後述のオチの切れ味につながっている。
ヘトヘトのドラえもんが途中の階の部屋をあけ、ジャイアンの歌に卒倒する場面はカット割りの呼吸が良くて予想できても笑った。普通ならご都合主義に感じかねないところ、ドラえもんが疲れて頭がはたらかなくなったことが映像からうかがえるので、行動に理不尽さを感じない。原作では特にフォローのない一般人を野比玉子がつきはなす台詞もあって、今回は人間がひどいめにあう狂騒の楽しさがあった。
小便を実際にもらす原作描写は削られたが、もう耐えられなくなる寸前をラストシーンにもってきて、さらにスネ夫が勝手に建て増ししたことを示唆する演出がダメ押しのように入って終わる。原作のキレを映像化できないかわりに絶望感を増すようにアレンジしたことに好感をもてた。
「あんしん!ジャイアン保険」は2012年の再放送。
『ドラえもん』のび太の部屋は進入禁止/あんしん!ジャイアン保険 - 法華狼の日記