法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』四次元ポケットにスペアがあったのだ/どっちがウソか!アワセール

「四次元ポケットにスペアがあったのだ」は、いつものようにのび太が泣きつくが、ドラえもんにポケットがない。いつもつけているポケットは洗濯して、スペアポケットをつけて外出していった……
 2011年に映像化*1した中期短編をリメイク。絵コンテはコンテ千本切りで知られるベテランの奥田誠治作画監督は丸山宏一で、原画に大塚正実。
 奥田は2005年リニューアル以降では初参加だが、それ以前には参加経験あり。実際にリニューアル前のようなイメージBGの多用が良くも悪くも古い。カットつなぎなどは違和感なく、内容もおおきなアレンジを入れずにアニメ化できていたが。
 ささいなアニメオリジナルとして、雌猫と仲良くなろうとして釈明するドラえもんの背後に、のび太が空をとぶため意図せず出した巨大な円盤が映りこむコンテが面白い。同一場面に映らない原作では遠いところでかけた迷惑がスペアポケットをかいして影響するギャップで、同一場面に映るアニメではすぐ近くに堂々と巨大な原因が飛んでいるのに気づかないギャップという、ほんの小さな違いでギャグのニュアンスが変化している。


「どっちがウソか!アワセール」は、のび太セミをとれなかったため巣箱を木においたところスネ夫に失笑された。そこで秘密道具をつかってのび太の思いこみに周囲をあわせていく……
 2006年に映像化*2された、やや後期の短編をリメイク。高柳哲司コンテ、三宅綱太郎演出、小西富洋作画監督。秘密道具が命中した時のエフェクトが珍しい感じ。CM入り前に骨川母がスネ夫に語る広角カットがm奥のスネ夫を極端にちいさく見せて威圧感を表現していたことも印象的。
 しかしセミをペットにするというアニメオリジナルの嘘まではともかく、言葉をしゃべらせたり漫才をさせたりはやりすぎだろう。直前にドラえもんのしわざとかんづいているのに、他の動物ではありえない姿を見せれば信じるとは思えない。原作はあくまで生態の誤認だからスネ夫が嘘に飲みこまれてしまったという描写だろうし、骨川母がアニメオリジナルで言及したDVDを見せて、それらしい劇中フェイクドキュメンタリーをつくったほうが説得力があがったと思うのだが。

*1:hokke-ookami.hatenablog.com

*2:コンテ演出は今回の演出と同じ三宅綱太郎。