「クロマキーでノビちゃんマン」は、空を舞うTVCMに、のび太が素朴な疑問をもつ。そこでドラえもんが秘密道具で合成を実演。しかもそれは映像を現実に投影する機能もあった……
2005年リニューアル以降に初アニメ化。初コンテの「つくしやま」は検索すると「テレビとりもち」*1のキャラ設定に共同で参加していたが、新人なのか偽名なのか。
原作ではブルーバックひとつだが、今回のアニメでは現代的なグリーンバック*2も用意。なぜブルーバックだけでは不具合が出るかを、ドラえもんの青い部分が抜けてしまうビジュアルでわかりやすく表現。さらにアニメオリジナルで、バックにあわせた色の布をかぶって姿を消したり現れたりも表現。合成技術の実演的な解説として好奇心をそそるし、それを見せられるジャイアンやスネ夫の反応でギャグアニメとしてもキレキレ。
また、立体映像を投影できるので、原作と違って周囲の景観まで切りかえたりも。しかしこれは設定的に可能そうとは思うが、さすがに複数回の変更が派手すぎるし、巻きこまれた誰かが気づかないとおかしいかな。
あと、作画そのものは悪くないのだが、巨大化する時はデジタル撮影している現代のアニメらしく、別レイヤーの絵をそのままスムーズに拡大縮小してほしかったところ。今回はジャギが出たり描線の太さの違いが気になっても合成らしい表現になるから問題ないし。
とはいえ、全体的にはアレンジもふくめて良いアニメ化だったと思う。だからこそ、細部をさらに詰めてほしかったといったところ。
「タンポポ空を行く」は、放置していた虫カゴにタンポポが生えているのをドラえもんが見つけ、のび太が捨てようとする。ドラえもんは命の大切さを教えようと、擬人化して見える秘密道具を出す……
2005年リニューアル初期に、スラップスティック演出で知られた安藤敏彦が見事に感動的に映像化した原作。それを三宅綱太郎コンテ演出でリメイク。
ところどころ止め絵演出を入れつつ*3、少年の精神が成長する物語を情感たっぷりに描いた。
原作どおり、きっかけをのぞいてドラえもんがのび太と距離をとることで、主観的な擬人化にのめりこむ危険も描けている。その一環として、のび太のかわりに野球をひきうけたドラえもんが、夜中に寝言をいいながらバットをふりまわす唐突なアニメオリジナルギャグに笑った。