法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』大きくなってジャイアンをやっつけろ/デラックスライト

 EDが水田わさび版の「ぼくドラえもん 40th」になったことに驚いた。2019年につかわれた時は放送40周年だったが、今回は特別なイベントがあるわけでもなさそうなのに。ドラえもんのさまざまな姿を編集した映像とあわせて楽しいEDではあったが。


「大きくなってジャイアンをやっつけろ」は、のび太が謝ればゆるすというジャイアンに、悪いのはそっちだとドラえもんが口をはさむ。激怒したジャイアンに対して、成長した未来ののび太をつれてこようとするが……
 単行本未収録だった原作を2005年リニューアル以降で初アニメ化。1973年が初出の初期作品なためか、原作の時点でドラえもんのノリが現在とは違う。
 原作にひきずられてか、コンテ演出の三宅綱太郎も作画監督の嶋津郁雄も2005年リニューアルから安定した仕事ぶりだったのに、今回は全体的にノリがはげしくて面食らう。小倉監督体制になってから増えた止め絵演出やイメージBGだけでなく、3回PANまで入れて出崎統アニメのよう。もちろんカット割りの呼吸は出崎監督とはまったく異なる。オーバーアクトぶりからすると、この作品にかかわっていたころの渡辺歩監督に近いか。
 作画は全体的に良かった。よく動くだけでなく頭身の微妙な違いがきちんと描きわけられていて、話のポイントとなる体格差が表現できていた。土管にジャイアンがはまる冒頭にはじまり、塀の上から中学生のび太の頭だけ見えたりと、街角の風景も体格表現に活用。映像技術としては良くできた回だったと思う。
 ストーリーは原作に忠実。机のタイムマシンから部屋に出たと思ったら物置だった、みたいな小技はいれつつ、さほど時間をおおきく移動しているわけではないので時代の変化は感じられない。それほど複雑な時間移動をしているわけでもない。プロットだけを見るとかなり簡素な物語で、追加できる要素が多いわけでもなく、尺いっぱいにふくらませるため演出でひきのばした……というところなのかもしれない。


「デラックスライト」は2014年の再放送。ドラえもんがデラックス化したビジュアルや、黄金化して重くて動けなくなったりするところは好きだが、ストーリーに原作のテイストが出ていないことが残念。
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