法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』のび太の部屋は進入禁止/あんしん!ジャイアン保険

一時期の『クレヨンしんちゃん』のように、サブタイトルにスタッフが記載される方式に変化。最後に来年の映画情報も公開。


Aパートは、生前単行本に未収録の「ルームガードセット」を構成そのままにアニメ化。のび太の部屋を中心として、一つの家で完結する趣向が面白い。秘密道具の機能もシンプルだが、自分の部屋を秘密基地化するという、子供心をくすぐる内容。
のび太の部屋が二階にあることで、狭い舞台に終始しながら奥行きと立体感も映像に生まれていた。柔らかいフォルムの作画も良好。


Bパートは、ちょっと道具のデザインにシンプルさが足りないかな。
もっと強引に契約をせまったり、のび太が依頼して殴ってもらうのはダメという扱いにされたりしても良かった。保険を戯画した展開は二転三転して面白く、子供視聴者には大人社会をのぞきみる楽しみも感じられたことだろう。


そして来年の映画は『ドラえもん のび太のひみつ道具博物館』。ひみつ道具をめぐるアニメオリジナルストーリーで、のび太が名探偵の役をつとめるという。『ドラえもん』は、短編でこそ何度かミステリ回があったが、大長編ではアニメオリジナルもふくめて初めて。
ただ、怪盗との対決という構図ならば、中編映画『ザ・ドラえもんズ 怪盗ドラパン 謎の挑戦状!』でもやったことか。アイテム争奪戦という内容も同じ。ただ、うまくしないと茶番劇になるので、第三勢力を導入するか、怪盗の動機を強烈にして存在感を出さないと、長編映画を支えるのは難しいだろう。ちなみに『怪盗ドラパン』では、少女ミミを人質にしてドラパンを操っていた黒幕を出すことで、同時にドラパンの動機も力強く描いた。
寺本幸代監督は、誕生日SP「ドラえもんの青い涙」*1でも怪盗物を手がけていた。傑作とはいわないまでも、それなりに娯楽としてまとまっていた。ただ、長編を支えられるような重みや展開のうねりはなかったし、以降の傑作続きな誕生日SPに比べて弱いつくりでもあった。
「映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)」公式サイト
公式サイトでも予告が確認できる。映像は特報のため作られ、おそらく映画本編には使用されないが、ナレーションで「未来の博物館」と明言されているところが気にかかる。明確に未来世界を舞台とした大長編も初だ。『銀河超特急』は未来技術で作り出された遊園地を舞台としているが、現代社会からシームレスに宇宙へ出ており、未来世界という側面は強調されていない。
たとえば、ビクトリア朝のイギリスを舞台とした活劇にしても、面白そうに思うのだが。『パラレル西遊記』と同じように、『T・Pぼん』のエピソードをふくらませたりして。たとえば、産業革命時代のイギリスに遊びに行った時に秘密道具を落としてしまい、歴史が変化してしまうので回収に向かうが、大英博物館に所蔵されたと思えば怪盗に横取りされたり、そうして争奪戦をくりひろげながら階級社会や帝国主義の闇を知っていく……とかね。
ともかく過去の大長編と比べて初の要素が多く、不安と期待が半々といったところ。