法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ちっちゃくても出木杉/たとえ胃の中、水の中

 前後とも身体縮小ネタ。「ロボッターの反乱」*1と同じく『宇宙小戦争』が終わった後の放映だが、ひょっとして新型コロナ禍がなかったなら映画の地上波放映にあわせるつもりだったのか。さすがにそこまで予定を変更できないわけもないか。


「ちっちゃくても出木杉」は、のび太カプセルトイでシークレットを出したが、スネ夫は動かないといってバカにする。そこでドラえもんが本物をミニサイズでコピーする秘密道具を出すが……
 森山瑠潮コンテ。最近に再放送された「ポケットの中のしずかちゃん」*2もふくめ、傑作佳作の多い身体縮小アニメオリジナルストーリー。しかし今回は本人の縮小ではなく言葉を話すことすらできないコピーなので構造が異なる。
 前半は本物そっくりのミニチュアで楽しみスネ夫を見返す描写がしめているし、意図せず出木杉をコピーしてからは協力してくれるマスコットキャラクターのニュアンスが出てくる。
 遠い本屋にいって残りひとつの雑誌を買って、その地域のガキ大将たちに追われることになるアクションはなかなか出木杉らしい知性を感じさせて良かった。原作ののび太なら「まるごとコピーカム」で雑誌をコピーしてすませそうな気もするが。


「たとえ胃の中、水の中」は、ピーナッツを食べていたしずちゃんが母親の声にあわてて指輪からはずれていたオパールを飲みこんでしまう。母親がさがしていたのはそのオパールだった……
 2006年にアニメ化された中前期の原作をリメイク。氏家友和コンテ演出で志村隆行作画監督。2006年版は口内から迷ってしまうアレンジがほどこされていた。
 今回は胃に入ってから故障で動けなくなってしずちゃんに体をかたむけさせて移動するアレンジ。潜水艦が故障しやすいというオチの伏線となる台詞をさらに補強し、その台詞が出てきた時にしずちゃんが体を動かしたため潜水艦がゆさぶられる描写を逆用するアイデアでもある。しずかちゃんが変な姿勢をとりつづけるギャグが長くて、もうちょっと別のアイデアを足したほうが好みだが、これはこれで悪くない。
 しかし最後にのび太が原作どおりインク瓶を飲んでしまうわけだが、現代の一般的な小学生の机においてあるものではないので違和感がある。過去のアニメ化と同様、別のものを飲みこむアレンジにしても良かったのでは。