法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』珍獣がショートステイ/変幻自在!お天気ボックス

「珍獣がショートステイ」は、スネ夫が珍獣展につれていってくれると自慢する。そこでのび太ジャイアンは対抗して、秘密道具で珍獣を観察することになるが……
清水東脚本、善聡一郎コンテによる、夏休みの到来を予感させるアニメオリジナルストーリー。珍獣の巣にするための丸めた新聞は張り込み素材。演出を担当した斉藤秀二の仕事だろうか、過去に仕事をした回をふりかえると映像面が充実していることが多い。
動物を疑似観察する、ステイホームを意識したエピソードのようでもある。そこから骨川家に複数ショートステイさせることで、屋敷のさまざまな場所がアニメオリジナルで描かれていく。人間の住居を動物向けに変化させることで、逆にその動物に何が必要なのかが明確になっていく。
結末はドラえもんがひどい目にあえばあうほどおもしろくなるとスタッフが考えていそうなオチだが、そう的外れでもないのが困る。投げっぱなしだが、大半はスネ夫が巻きこんでいるので金銭問題は解決かな。
しかし、しずちゃんが冒頭にしか登場せず、のび太ジャイアンが前半まで協力して、最後にスネ夫を巻きこんでいったのは珍しい。常にレギュラーキャラクターに出番があるわけではないところが、逆に原作らしくもあるが。


「変幻自在!お天気ボックス」は、ハイキングに行けるかどうかスネ夫たちとかけをしたのび太が、秘密道具で転機をコントロールしようとするが……
2012年に映像化*1された原作をリメイク。関野圭一が関野関十名義でコンテとして初参加。落下する太陽の絵や、わきあがったり吸いこまれたりする雲などが、アニメ塗りではなく質感をもって動いたところが目を引いた。
今回は全体の構成は原作のままで、細部を現代的に更新している。まずスネ夫タブレットをもちだしてリアルタイムの衛星画像などをつかう描写が、自信に裏づけをもたらすアレンジとして説得力があると同時に時代の変化を感じさせる。今年頭に初放映された『天気の子』*2の珍しいパロディも。そこそこ目にした『君の名は。』と違って商業作品で初めて見た。
また、2012年版は曾祖父が天気予測の名人だったというアニメオリジナル描写があったが、今回は出木杉が低く飛ぶツバメを見て天気を予測する方法を語って外したりする。
原作どおりの展開にするためのカード行方不明は、風のカードをつかう理由に部屋のなかの雪を排出するためというワンクッションを足して、少し行動の説得力が増している。