法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

眉から鼻筋がつながる立体感を強調した作画、けっこう好きなんだよな……

WEB出身で知られるアニメーターの小嶋慶祐氏が、鼻の立体感を強調する中割り*1が描かれることを不思議がっていた。

同意するアニメ関係者のリプライや引用リツイートを見ると、主に海外の動画作業で発生しやすいらしい。


特に海外上がりのが、なにか文化的なものなんですかねぇ...
キャラ表に答えある時とかなんで?となる時が


海外動画とか高確率でこれだよね。二次元絵に対する感覚の違いなんだろうか思う。真相は知らないけど。日本の漫画アニメの感覚だと鼻は輪郭の内側に入った瞬間高さが消えて点や線になる。

もちろん、そうした中間の絵もふくめて作画の基準となるキャラクター表にあわせるならば、原則として鼻筋はすぐに消すべきではあるだろう。


しかしデフォルメされたキャラクターの作画でも、問題視された鼻筋が必ずしもかわいくないかというと、そうは思えない。問題提起した小嶋氏の作画からして、もともとうまいので相応に魅力的に見える。
反応したひとりの田中裕太氏が深くかかわるシリーズ作品で似た作画があった時は、感想エントリで好意的に紹介するため稚拙な模写までした。
『ハピネスチャージプリキュア!』第17話 努力と根性!!めぐみと誠司の絆!! - 法華狼の日記

ちょっとふりかえったキュアプリンセスの、鼻筋から口元にかけてのラインが好み。下みたいな感じで、ちょっと厚目のクチビルも珍しい。

鼻筋や、その奥にある目の立体感を重視したアニメ作画では、『ガサラキ』の下記パッケージ絵なども印象に残っている。

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キャラクターデザイナーじきじきに描いたパッケージである以上、しあげ作業の失敗で生まれたわけではないことも明らかだろう。
他に、日本で鼻筋や口元の立体感を強調したキャラクター作画というと、思えば杉野昭夫などが古くから知られている。

しかし魅力的でありつつ、たしかに海外のようなバタ臭さを感じさせる絵柄でもある。
このように過去には日本でも試されていた立体表現が、いつのころから排除されたのか、という流行の変化で考えるべきかもしれない。

*1:動きの起点と終点の絵を描いた原画に対して、その動きの中間の絵を描く作業。動画という名称の役職でおこなわれ、原画と比べて創作性の薄い単純作業だが、立体が動く中間の絵を正確に描くにはもちろん技術力を要する。