法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

野沢那智氏、死去

肺癌という。最近まで精力的に活躍していたのだが。
http://www.47news.jp/CN/201010/CN2010103001000567.html

 映画「太陽がいっぱい」のアラン・ドロンの吹き替えや、ラジオの深夜放送などで人気を博した、俳優で演出家の野沢那智(本名那智=やすとも)さんが30日午後3時36分、肺がんのため東京都内の病院で死去した。72歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者で行う。後日お別れ会を開く予定。喪主は長男聡氏。

 大学中退後、演劇を志し、複数の劇団を経て劇団「薔薇座」を結成。演出家、俳優として活躍した。声優としては1965年から放送のスパイドラマ「0011ナポレオン・ソロ」の軽妙な吹き替えで一躍人気に。アラン・ドロンブルース・ウィリス、アニメ「ベルサイユのばら」のフェルゼン役などで知られた。

 67年から深夜ラジオ番組「パック・イン・ミュージック」で放送タレントの白石冬美さんとのコンビが長年、熱心な聴取者に支持された。

 女優戸田恵子さんら後進の育成にも熱心で、俳優養成校「パフォーミング・アート・センター」を設立、代表を務めていた。

ちょうど本日に映画『ダイ・ハード4.0』を土曜プレミアムで放映しているが、主演声優が野沢氏でなく樋浦勉であることには、不思議な因縁を感じてしまう。
主人公コブラを演じたTVアニメ『スペースコブラ*1も今月初めからGYAOで無料配信している最中。
http://gyao.yahoo.co.jp/p/00114/v09650/
コミカルでシリアスでハードボイルド。二枚目も三枚目も演じられる野沢氏の本領が発揮されている。


しかし個人的な思いをいうと、脇を固めるキャラクターに美声で存在感を与えられる名バイプレイヤーとしての印象が強い。
三枚目キャラクターとしては映画『クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王』*2のハイグレ魔王が、二枚目キャラクターとしてはOVA『悪魔の花嫁 蘭の組曲*3の耽美なダークヒーロー「デイモス」が印象深かった。

*1:劇場版もふくめ、出崎統監督作品としては珍しい作画アニメだと言い切っていい。止め絵も三回パンもほとんど使われず、コミカルな動きをじっくり見せたり、爆破シーンを作画で描写したり、ここまで絵が動くプリミティブな面白味を見せることは他の出崎作品に多くない。他は柴山努レイアウトが良かった『ガンバの冒険』があるくらいか。杉野昭夫他の気心知れたスタッフにくわえ、良いアニメーターがそろっていたためかもしれない。

*2:TVSPの延長みたいな感覚もありつつ、映画として完成度を高める後年のシリーズを予感させる描写も少なくない、気軽な佳作。

*3:りんたろう監督による30分の短編作品。色彩表現にこった映像美や設定で、一見してスリラーあるいはホラーかと思わせつつ、最終的に古典的な本格ミステリをアニメで見せてくれた、隠れた名作。