法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』○○よりマシ

ゲストのひとりが原田知世。さまざまな極限の事態や環境で、選択をしいられた人々を紹介する。


まず、パキスタンからはたった6人しか車で通行しない、山肌を削っただけの危険な道を紹介。山奥の村人が協力してつくったものだという。
少しずつ崩れて小石が散乱し、タイヤは簡単にすべり、少しハンドル操作を間違えれば崖に転落しそう。僻地の交通を描いた定番のドキュメンタリだが、これは運転手のひとりが過去の事故を語って不安をもらしつづけるところに独特の味わいがある。不安が伝染するからやめるようにと乗客から叱責されるほど。運転技術がたくみともいいがたく、雪道をチェーンをつけるのが遅かったり、とうとう横転して取材が止められたり。
難所を行くプロフェッショナルではなく、平凡な一般人が生活のためやむなく利用している感じが出ていて、なるほど今回のテーマにあっている。


イギリスでは友人の操縦する軽飛行機に同乗していた77歳の老人が、急に友人が苦しみだして操縦桿をまかせてきたため、未経験の飛行機操縦をおこなわざるをえなくなった。
しかし友人の操縦をよく見ていたおかげで、無線ごしの指示も何とか理解して対応できた。協力のため飛んできたイギリス空軍に自己紹介して、紳士だからと理由を語るユーモアたっぷりな性格が楽しい。もちろん危険から目をそらす心理的防衛機制だろうが、パニックになるよりはずっと良いはずだ。
そして日が落ちたころに空港でようやく着陸をこころみる。しかし正面から風を受ける小さな滑走路は照明が無くて不安で失敗。斜めから風が来るが照明があり、進入角度の適切さを教える信号もある大きな滑走で着陸をこころみては失敗するも、燃料ぎりぎりの最後の着陸に成功。何度もバウンドし滑走路を外れて芝生に侵入したものの、無事に生還することができたという。


ガーナからは、先進国から贈られた衣服が、現地で独特の市場経済を生み出して社会を荒廃させている問題を紹介。2019年でとりあげた問題を深掘りしたといったところ。
『世界まる見え!テレビ特捜部』こんなカラクリがあったのか! 見たことない裏側SP - 法華狼の日記

梱包された状態で取りあいになるため、ガーナの商人同士でこぜりあいになったりも。ガーナでは法律で禁じられているはずの古着の下着販売も、堂々とおこなわれている。さらに古着はガーナの田舎にも運ばれ、やはり商人同士が奪いあいながら、人々にいきわたっていく。

今回も放出された衣服を商人が強引に奪いあい、高値で人々に売りつける。おかげで豪邸を建てた者もいるが、それは格差が拡大したということでもある。
状態が悪い汚れた衣服も多く、それは貧しい社会でも商品にならない。それらは使い道もなく捨てられ、都市廃棄物の埋め立て地を予定より早く満杯にしてしまった。
これは善意の建前で廃棄物を発展途上国へ押しつける問題でもあるし、未来を気にせず現在の利益だけ最大化するよう市場が動く問題でもある。