法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』偶然か?奇跡か?神様のイタズラ

番組中でも言及があったが、今回はサブタイトルに反して人間のおこないが印象に残るエピソードばかりだった。


最初に紹介されるエピソードからして、野生動物や家畜とはなればなれになるしかなかった人々の逸話。どれも人間が介入している出来事だ。
シリアにいたっては、紛争によって行き来をしいられた兵士が、現地でひろった犬をNPOの助けで故郷におくりとどけてもらったというもの。


ロシアで約二十年前に起こった乳児取り違え事件も、完全に人間の失敗だ。長男だけ顔が親に似ていないことなどが気にかかっていたが、判明したのは十八歳で受けた血液検査のため。
取り違えを起こした病院はすでに廃院、それらしき顔の子供を追うとロシアの東端に移り住んでいた。そちらの子供はひとりで、顔が似ていないことから浮気をうたがった夫が妻を虐待した後に死別。
自家製ワインが成功して生活に余裕のある大家族と、貧しい母子家庭の対比が痛々しい。取り違えられた長男は両方とも裕福な家に住みたがり、シングルマザーは寒い地方で孤独をかかえている……


最後に紹介されたのは、ちょうど二十年前に起きた911世界同時多発テロで、緊迫の裏側で奮闘していたカナダの地方空港が紹介される。
ハイジャックされた旅客機による世界貿易センタービルペンタゴンへの自爆攻撃。そこで米国はすべての航空機の着陸を禁止してしまい、約四百機が行き場を失った。
そこで戻れる航空機には戻ってもらい、残りの約半分をカナダが引き受けることに。カナダでも都市部の空港は閉ざされ、たった七つの小さな空港が全力をつくすことになった。
当然のように空は渋滞を起こし、降りようとする滑走路に別の飛行機が残っていたりと危機がつづく。機体を軽くするための燃料廃棄も周囲に他の飛行機がいない場所でやるしかない。
せまい滑走路にぎっしりつめこまれた飛行機の姿など、印象的な光景が多かったし、現場の奮闘劇もドラマチックだ。
ちなみに受け入れてもらった日本側の視点では、くわしい説明をしない空港への不信感をおぼえていたり、混乱のなかで交渉した苦労が語られている。
https://www.nca.aero/profile/history/pdf/history_part04.pdf
もちろんカナダの空港側の視点で見れば、非番の管制官まで協力して、全力でできることをやったと理解できるのだが。