法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『トロピカル~ジュ!プリキュア』第38話 決めろ! あすかの友情スマッシュ!

生徒会長をやめた白鳥は、フェニックス学園へのテニス推薦入学が内定していた。一方、進路に迷っている滝沢は、トロピカる部の後輩につきそうようにフェニックス学園へ見学に行く。入学もしないうちからテニス部のコーチに白鳥と、そのコーチも存在を知っているほどの腕前だった滝沢。白鳥の挑発で、推薦入学をかけたテニス対決がはじまった……


スポーツアニメ『アイシールド21』の監督などをしていた西田正義が絵コンテとして今作に初参加。アニメーター陣もちょっと普段の東映と違う感じか。
すごく良いというわけではない標準的なつくりで、テニスシーンも半端な全身ショットの止め絵が目立つ。とはいえ、滝沢と白鳥の頭身にあわせて唇などが通常より肉感的に作画されていた。


物語は、第30話と同じくプリキュア活動が日常生活の障害になる構図*1。そこでプリキュアになるまでは孤立していた滝沢の物語をとおして、プリキュアを正義の味方ではなく大切な仲間と再定義し、かけがえのない時間として位置づけた。
なるほど、活動の具体性のなさでいえばプリキュアもトロピカる部も同じだ。さらに学校生活の多くは現実社会と切りはなされているが、それはかけがえのない時間ではないことを意味しない。現実の比喩性が弱い今作の敵に対して、主人公たちが戦う意義をこういう角度で描きなおすのかと感心した。


そしてこのようなことを思ったのは、プリキュアではない学校活動が魅力的に描けているからでもある。
したってくる後輩たちとのわちゃわちゃ楽しい時間。責任ある立場を降りて執着を隠さなくなった過去のパートナー。
滝沢個人の物語として期待したいところを順当に押さえていた。以前*2に助けてもらったプリキュアは滝沢だろうと白鳥が言い当てたあたりの湿度が実にいい。
もっとも、ふたりの世界で激情をぶつけあう白鳥と滝沢には、いろいろな意味で小さい子供がおいてけぼりでは?とも思ったが……