このブログが11月24日から非表示だったのは、削除依頼を受けての、プロバイダ責任法にもとづく運営の処置だった。
削除依頼の内容に非公開情報がふくまれると運営に注意されたこともあり、結論が出るまでブログ非表示化の経緯を説明することをさけていた*1。
今回は諸事情で一週間しないうちに解除されて削除修正も必要なくなったが、普通なら該当エントリの削除が必要だったし、非表示状態が長引いた可能性もある。
くわしい事情の説明は後日にするとして、非表示にされた分水嶺は、二週間ほど前に運営から来ていた一通の照会メール*2を見逃したこと。
反省のひとつとして、下記アドレスからの運営メールを強調して通知が来るようにして、迷惑メールと判断されないようフィルターも設定した。
support@hatena.zendesk.com
いわれるまでもなく設定している人も多いだろうが、これだけはどのような思想や立場の人物も注意してほしい。
その設定さえしておけば、以下は特に読む必要はない。
私の失敗は、以前にスパムコメントが多く書かれた時期があり、運営に対処を求めても解決しなかったので、はてな関係の通知をあまり見ないメールフォルダにわけていたこと。
つまり私の選択なのだが、情報削除ガイドラインを確認すると、照会メールが意図せず迷惑メールフォルダに設定されていても対応に変わりはないという。
はてな情報削除ガイドライン - Hatena Policies
はてなから発信者、利用者に連絡を行う際には、はてな利用規約で定める通り、登録メールアドレス宛の電子メールで連絡を行う。登録メールアドレスが失効、あるいはエラーなどによって連絡を受信できなかったために被った不利益については、はてなは一切責任は負わない。
実際にhiroseyonaka氏の場合は、YAHOO!メールのフィルターで運営メールがはじかれたため気づかず、問いあわせてから状況を理解し、すぐ記事を削除して再表示されたという。
www.hiroseyonaka.com
id:minimalgreen氏の場合は、ブログのスタイルをいじる実験について問いあわせてから二回ほど返信があったが、迷惑メールフォルダーに入っていたため気づかなかったという。
blog.minimal-green.com
こうしたことが起きないよう、どのような立場でも運営メールはすぐ気づくように設定することが、誰にとっても良いことだろう。
私の場合は、照会メールで一週間の期限が切られていた。しかし他に通知はなく、知らずにブログ更新をつづけていた。
そして11月24日夜に新しいエントリをあげた時、「このブログは限定公開です。シェアは慎重に行ってください。」という文章が表示され、ようやく異変に気づいた*3。
その文章で検索して先述のhiroseyonaka氏のエントリを見つけ、遅ればせながら運営メールを読むことで状況を理解した。
照会メールでは、削除依頼されたエントリを削除修正するか、もしくは申立者への反論が求められていた。対応がなかったためブログ全体を非表示にしたという事後報告メール*4もあった。
期限内に照会メールに気づいていれば、そもそもブログが非表示にされなかった可能性がある。
おそらく私の場合は、情報削除ガイドラインの「名誉毀損・侮辱(個人)」の「2」に該当すると運営が判断したのだろう*5。
2. 誹謗・中傷等特定人の社会的評価を低下させる情報が掲載された場合は、原則として削除手続きを進めるが、発信者から以下の3つの要件を満たす合理的な理由をもって正当な反論を受けた場合、削除不可と判断する
・ 当該情報が公共の利害に関する事実であること(特定の犯罪行為や携わる社会生活上の地位に基づく行為と関連した情報等)
・ 当該情報が、公益を図る目的で掲載されたものであること
・ 当該情報が真実であるか、または発信者が真実であると信じるに足る相当の理由があること
「1」によると不特定多数への侮辱であれば削除されないし、申立者が反論を継続して議論が成立しているなら削除しないと「3」にある。
逆に「4」「5」を見ると、極端な揶揄など人身攻撃的であったり、明らかな虚偽にもとづく否定評価は原則として削除されるという。
反論を受けつける形式のメールだったことは、きちんと反論することができれば非表示にされなかった可能性をうかがわせる。
気をつけなければいけないのは、期限後の反論はいっさい受けつけてもらえないこと。運営によるとプロバイダ責任法にもとづくためという。
情報削除ガイドラインの要件を満たすと説明した反論メールを11月25日早朝に送ったが、期限超過のため受けつけられないという返答メール*6がきた。
おそらく反論の妥当性は関係ない*7。そもそも削除依頼の申立はエントリの形式を批判して被害をうったえるだけで、私の主張そのものへの具体的な反論は書かれていなかった。
一般的に特定の人物を批判すれば「特定人の社会的評価を低下させる」ことになり、おそらく論争をおこなうだけで「2」に該当してしまう。
つまり誰かを批判した時、その誰かが情報削除を依頼して、一通の照会メールに一週間気づかなければ、ブログが強制的に非表示化されて、後からとれる手段はほとんどない。
私の場合は、該当エントリを削除して同様の言及を申立者におこなわないと約束すれば、「例外」としてブログ再表示も検討すると返答メールにあった。ひとつのエントリの削除修正は必要だ。
当然というべきか、該当エントリを削除しつつ別の場所で同様の言及をおこなえば、ガイドラインによってはてなサービスすべての利用が禁じられる。
はてなより削除に関する意見照会を受けた発信者が一旦は自主的に削除を行ったにも関わらず、後日、はてなまたは削除要請を行った者の許諾なく同様の情報を掲載しなおした場合、即時削除を行い、発信者のサービスの利用を停止する
別のネットサービスで反論することは可能だろう。しかし同一ユーザーと運営に判断されれば、はてなサービスは停止されそうにガイドライン全体からうかがえる。
念のため、メール一通を見落とせば記事を削除しなければならなくなる基準が理解できないわけではない*8。
他者を批判するというリスクを高める行動をしながら利用サービスの通知メールを見落とす、それほど注意力が足りないユーザーが運営にとってリスクという考えはできるし、ふるいわけの基準として有用かもしれない。
極端な事例としてHagex氏が刺殺された事件も思い出す。標的となった理由は現実でイベントに登板して物理的に攻撃できたことが大きく、Hagex氏自身は匿名同士の軋轢に軽く言及したにすぎなかった。
報道への批判などならともかく、ユーザー間での論争がもりあがることを運営はあまり望んでいないのかもしれない。そうあらためて感じた。
*1:いまだツイッターのような他のSNSをほとんどつかっていないことも大きいが。
*2:11月15日。以下、照会メールと表記する。
*3:厳密には、違うWEBブラウザでログインせずブログを再読しようとした時にきちんと表示されなかったが、エラーの一種だと思っていた。
*4:11月24日夕刻。
*5:もうひとつ、「IDコール機能を利用したメッセージに対し削除申請があった場合には、発信者に意見照会を行う。」に該当する可能性もあるが、これについては後日に説明する予定。
*6:11月25日正午ごろ。以下、返答メール。
*7:とある問題について、ブログ非表示化とは別個に受けつけるとも書かれていた。
*8:まったく身におぼえがない架空請求であっても、正式な訴状であれば無視してはならないものだ。 www.fnn.jp