2019年にアカウントをつくった「H・O (大仏)@HO71854419」氏の、根拠のはっきりしないツイートが万単位のいいねやRTを稼いでいた。
「拡散希望」
— H・O (大仏) (@HO71854419) 2020年7月28日
初めて拡散希望をします。無理にとは言いません。一人でも多くの方に知って貰いたい事があります。安倍総理が政権に戻り数ヶ月後硫黄島に訪れました。滑走路の下には米国との戦いで戦死した人達の骨が埋まったまま。「踏みつけて申し訳ございません」と土下座されたんです。忘れない。 pic.twitter.com/o0c4IIDdhH
訪問時の映像ダイジェストはYOUTUBEの首相官邸の公式チャンネルにアップロードされているが、そのようなニュアンスはうかがえない。
それらしき場面は、「滑走路の下にも 多数の遺骨が埋もれている可能性が――」*1というテロップの後、膝を折って説明を聞いている静止画があるだけ*2。
遺骨の存在は調査中の可能性にとどめているし、はっきり謝罪したという公式情報も見つけられなかった。
ツイートをさかのぼってみると、遺骨と拉致被害者を同列視しつつ、祖国に返すべきと「H・O (大仏)@HO71854419」氏は主張している。
硫黄島の滑走路の下に埋もれたままの英霊の遺骨を取り返し、祖国に返すのと、拉致被害者を全員取り返すのは同じ。皆祖国に返す。日本としての責任。国民国家として祖国に皆帰る。日本としての責任🎌
— H・O (大仏) (@HO71854419) 2020年5月25日
そもそも硫黄島は半世紀以上前に日本へ返還はされているし*3、それ以降に島民を排除しているのは日本政府と自衛隊といっていい。
硫黄島(いおうじま)とは - コトバンク
68年に日本に返還されたが、自衛隊の基地が置かれており、一般の人は許可なしに島に立ち入れない。
遺骨があると伝えられている滑走路にしても、自衛隊のものということが上述の映像でわかる。
さらに遺骨問題に安倍氏と青山繫晴氏くらいしか愚直にとりくんでいないというリプライ*4へ賛同しているが、それ以前に菅直人氏が米国公文書をつかって遺骨返還事業を前進させたことは知っておくべきだろう*5。
また、「H・O (大仏)@HO71854419」氏は本土攻撃を数日でも遅らせたという理由で、硫黄島の戦いが無駄ではなかったとツイートしていた。
硫黄島の戦いは決して無駄ではない。ここで耐えて耐えて戦えばアメリカからの本土への攻撃を数日遅らせる事が出来る。その数日の間に人が次々産まれる。その数日の間に次々と祖先を通じて産まれて来たのが私達子孫。時間は何十年とかかるけどそうすれば祖国は甦る。それを教えてくれたのは勿論あの人✨
— H・O (大仏) (@HO71854419) 2020年6月12日
硫黄島で住民や兵士が犠牲になって遺骨がうちすてられたような国策を肯定しているのは、むしろ「H・O (大仏)@HO71854419」氏自身だとよくわかる。
そもそも硫黄島はたしかに米軍が飛行場として欲していたが、本土攻撃そのものはそれ以前から継続しておこなわれていた。
本土空襲(ほんどくうしゅう)とは - コトバンク
1942年4月,空母から発進したB25爆撃機による空襲が最初。ついでサイパン島陥落('44)以後,同島を基地とする大型爆撃機B29が,本土の軍需工場を,さらに大都市を無差別に空襲,焼夷弾による焼土戦術をとった。
たとえ硫黄島の戦い以前に本土攻撃がなかったとしても、たかだか数日間では産まれた子供はすぐ攻撃にさらされるし、敗戦後に子供が産めなくなるわけでもない。
硫黄島の戦いは無駄だった。それを認めることから戦後日本は出発したはずだ。