法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

日本人観光客、中国(大陸)に行かないのにロシアには行くんだ……

観光先として中華人民共和国が忌避されているらしいというid:zaikabou氏のエントリを見ていて、ひとつ思うところがあった。
日本人観光客、中国(大陸)に行かない問題 - 日毎に敵と懶惰に戦う

紹介されているのは以下の通り

-2DAYS ―2日で行く海外―
香港(中国)/マカオ(中国)/台北(台湾)/平渓線(台湾)/ソウル(韓国)/済州島(韓国) など

3DAYS ―3連休で行く海外―
ウラジオストク(ロシア)/バンコク(タイ)/サムイ島(タイ)/ハノイ(ベトナム)/アグラ(インド)/セブ島(フィリピン) など

4DAYS&5DAYS ―有休や長期休暇で行く海外―
イスタンブール(トルコ)/バルセロナ(スペイン)/ウィーン(オーストリア)/
メキシコシティ(メキシコ)/ローテンブルク(ドイツ)/ハバナ(キューバ) など

香港とマカオはあるんだけれど、中国大陸は全くない。

独裁国家でありつつ観光特化したシンガポールや、独裁国家でありつつも比較的に解放的なキューバベトナムあたりがあるのはわかる。


しかし、後日のエントリで要約されているように政治体制が批判されているのが一因だとすると、ロシアが観光先に入っているのが解せない。
日本人観光客、中国(大陸)に行かない問題、いただいたコメントへの見解 - 日毎に敵と懶惰に戦う

自分も中国共産党については好感は持ってないし、様々な人権侵害についてはまったく許容できないけれど、人民や大地が面白い、好き、という話と、政治体制が嫌い、という話は両立できる話と思うので、中共が嫌いだから中国いかない、とかならないです。

民主化をはたしたはずのロシアだが、政治体制や人権状況でいえば、中国と丙丁つけがたい。ウクライナ内戦*1など、とうてい正当性があるとは思えない直接的な軍事介入を現在していることを思えば、劣るとも優らないといって過言ではあるまい。
はてなブックマークを見ると多数のコメントがあるが、ロシアに明示的に言及しているのはid:rider250氏くらい。それも政治体制の問題をすぎさった過去のようにとらえている。
はてなブックマーク - 日本人観光客、中国(大陸)に行かない問題 - 日毎に敵と懶惰に戦う

冷戦期、主に招待旅行でソ連に旅して「治安が良いよ、食い物美味しいよ、国家としてはアレだけどロシア人は個人としては人柄が良いよ、皆とても親切だよ」というエッセイを書いてた作家や文化人たちを思い出した。

文化的な距離によるコミュニケーションの難しさなど、中国よりも観光先としてのハードルが高いところも多い。それなのに、中国ほどには反発されていないらしきことが不可解だ。


ただ少し違う話として、本当に政治体制へ疑問を持っているため観光先に選ばないとならば、それはそれでひとつの見識だとも思える。むしろ積極的にそのような意見を発信すれば、政治体制に問題をかかえた国家への批判として有意義かもしれない、とも考える。
ちなみに、チベットハウス・ジャパンでは、観光が全体として中国政府への牽制となると考えているようで、さまざまな注意をうながしつつ推奨している。
チベット本土へ旅行する方へ | ダライ・ラマ法王日本代表部事務所

私達は、中国政府に対して圧力をかけ続けることが大切だと思います。最も有効な方法は、チベットでの「本当の状況」の目撃報告です。チベットにおける観光事業が、中国政府に利益をもたらしているのは事実です。しかし、もし、その地域に旅行者が居なければ、1998年5月にダプチ刑務所でおきたデモのような事件について、中国側の報告のみが発表され、国際社会が真実を知ることはますます困難になるでしょう。

同時に多くの危険があることも警告されて、物見遊山な観光は避けるべきという印象は受けるが、中国にかぎらず旅行にはこういう側面もあるのだと頭の片隅に置いてもいいかもしれない。