法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『スター☆トゥインクルプリキュア』第39話 えれな大ピンチ!テンジョウ先生のワナ!

英語スピーチコンテストに天宮えれなが抜擢される。それと時期をあわせて敵幹部テンジョウが教師として学校へ潜入した。
新入り教師として少しずつ天宮と距離をちぢめながら、笑顔を嫌悪するようにふきこんでいくテンジョウだったが……


小林雄次の脚本に、上野ケンとアリス・ナリオの共同作監。高身長でパンツルックのテンジョウが、絵柄のうるわしさもあって麗人のようで、天宮とのツーショットが絵になる。
潜入のため第27話*1で登場したアイテム「へんしんじゅ」を使ったり、宇宙人の存在が香久矢父に気づかれて次回に引いたりと、ひさしぶりに連続ストーリー感を強調。
しかし本筋はあくまで天宮えれなというサブレギュラーのドラマにとどめ、これまで背景を描かなかったテンジョウと共通点と相違点をきわだたせる物語だった。テンジョウの潜入で校長を行方不明にさせ、クライマックスで怪物化させる、勢いで説明をすませた処理がうまい。


これまで多数の戦闘員へ命令する戦闘スタイルだったテンジョウに、人間不信という内面を用意したり。日本社会においてマイノリティな天宮と関係を深めたり……
劇中で「太陽」と評され周囲に笑顔をふりまきながら、あまり積極的に行動する局面がなかった天宮。そのスピーチで苦しみの感情をむきだしにするようテンジョウがアドバイスしたことが、意図せずとも天宮の魅力をひきだしキャラクターに説得力をもたらす。きちんと過去の回想でマイノリティの苦しみを描いて、しかし明るくふるまう現状を肯定する展開は感動的だ。
ただ、いわば天宮の笑顔は環境にしいられたものという事実と、それでも笑顔をやめないという結論には、明るい見かけの重苦しさを改めて感じた。無理に笑顔でいる必要はないというテンジョウの主張について、その正しさをも天宮が認めて感謝する場面があれば、もっと救われたように思う。今後の展開に期待したい。