法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『スター☆トゥインクルプリキュア』第45話 輝くキラキラ星☆ひかるのイマジネーション!

少しずつ仲間たちが進路を決めていくなかで、星奈だけはいつもどおり。周囲が離れていく予感をおぼえながら、星奈はプラネタリウムに向かう……


今作初参加の大塚隆史コンテ。東映の若手演出家としてプリキュアシリーズで頭角をあらわしたが、フリーになって長く、スポット的にでも参加したのは約2年ぶり*1
撮影効果を多用して、作画の動きは省力しつつ見映えする画面をつくっていたのが印象的。降りしきる雨*2もアフターエフェクトらしいが、攻撃などで水しぶきを足したりと細かく描写を変えている。
さらに必殺技バンクを描きなおして迫力を強調したり、合体必殺技バンクで音楽を変えたり、パターンに少しのアレンジを加えてスペシャルな雰囲気を作りだしたのも技巧的。


しかしポップさを抑えた画面だけでなく、物語もシリーズ定番に戻った印象があり、それは良いとは思えなかった。
今回も村山功シリーズ構成が脚本を担当しているが、天宮とテンジョウが葛藤した第43話の問題提起から後退してしまっている。
『スター☆トゥインクルプリキュア』第43話 笑顔への想い☆テンジョウ VS えれな! - 法華狼の日記

哀れみは見くだしであるという問題意識は、あまりシリーズでは描かれてこなかった。やさしさを見くだしと批判するなら、敵を救おうとするプリキュアも少なからず対象となるからだろう。
事実として、プリキュアとして戦いに決着をつけた天宮が手をさしのべても、テンジョウは受けいれられなかった。プリキュアとしての戦いをへても今回の問題は解決しない。

星奈は倒した敵へ手をさしのべ、ついカッパードが手をのばした瞬間、断ち切られるように異空間へ消えていく。その演出そのものは良かったし、手をさしのべる意義もあるとは思うが、前々回を反映した描写であってほしかった。
ついでに、カッパードの星奈に対する「きれいごと」という評価は、「絵空事」という表現のほうが意味がとおるのではないかな、と思った。星座モチーフの今作らしい言葉でもあるし。


ただ、仲間と出会いながら大きな変化のない星奈について、動かないデネブが他の星との関係で星座として位置づけが変わるという説話は悪くなかった。そこから本人の変化はなくとも、星奈が星奈のままで他者と出会う意義を見つける流れも面白い。この着眼点を延長してカッパードとも新しい結末をむかえてほしいものだが……

*1:『魔法つかいプリキュア!』第49話 さよなら…魔法つかい!奇跡の魔法よ、もう一度! - 法華狼の日記

*2:この描写自体、脚本では存在しなかったという。