法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』へやいっぱいの大どらやき/ドラドラスパイ大作戦

ひさしぶりに後半が再放送。何かの時期的なテーマというわけでもなく、理由がよくわからない。


「へやいっぱいの大どらやき」は、ドラ焼きをつくるため新種の細菌をうみだす秘密道具をドラえもんが出す。失敗をくりかえしたドラえもんはあきらめたが、のび太がかわりに新種の細菌をつくって……
同名の原作短編を2005年リニューアルから初めてのアニメ化。テレビ東京系のキッズアニメや子供向け番組で活躍していた永野たかひろが、脚本として初参加。
あらすじは基本的に原作をふまえているが、ディテールを大幅に追加。ドラえもんが細菌の利用法を説明する台詞を長くして、ジュースの合成に水だけでなく空気も必要という考証を追加。さらに牛乳をヨーグルトにしたり大豆を発酵食品にする描写を絵で見せる。
原作では失敗と言及されただけののび太がつくった細菌も、どのような能力をもつかアニメオリジナルで描写*1。不合理なようでいてギリギリありえそうな発酵をおこない*2、友人たちにも披露される。原作ではノビジュースの試飲でしか登場しないので、これも友人の出番を確保するTVアニメの方針なのだろう。
高柳哲司コンテに小野慎哉作画監督で、アニメーションの見どころも多い。細菌の作用によってメタモルフォーゼする物体が、ちゃんとそれぞれの硬さ柔らかさを感じさせる動きを見せる。部屋に充満したドラ焼きのため家がたわんでいく手描き作画も、ていねいな撮影効果の質感を足していて良かった。


「ドラドラスパイ大作戦」は2018年の再放送。あらためて見ても面白いアニメオリジナルだったが、再視聴しての新たな発見というものは特になかった。
『ドラえもん』架空人物たまご/ドラドラスパイ大作戦 - 法華狼の日記

*1:のび太にとっては失敗だが、0点の答案を隠滅しようとして逆に硬化する細菌になったあたり、政府が公文書をまともに保存しない日本には有益だろうと感じた。 www.jcp.or.jp 真面目な話、重要書類にかぎらず美術品や古書などの保存などには役立ちそう。

*2:たとえば不味いラーメンのようになる輪ゴムだが、もともと天然ゴムと菓子のガムは同じ樹液からつくられる。