法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『スター☆トゥインクルプリキュア』第42話 笑顔の迷い、えれなの迷い。

香久矢が留学をとりやめたという判断を聞いて、天宮は花屋をつぐ将来をみんなに語った。
しかし、さまざまな用事をかかえる母を間近で見ながら、家族を長女として支える天宮は、どこか迷っていた……


天宮家を初めて描いた第14話と同じく、入好さとるがコンテ。作画監督は赤田信人。
アクションには尺を使っていないものの、等身の異なる大家族をそつなくひとつの画面におさめていた。
変身時の画面分割で、迷って出遅れた天宮の位置を黒く塗りつぶした演出も面白い。


脚本は広田光毅。以前の天宮回で感じたことを、さっそく主題としてとりあげた。
『スター☆トゥインクルプリキュア』第39話 えれな大ピンチ!テンジョウ先生のワナ! - 法華狼の日記

いわば天宮の笑顔は環境にしいられたものという事実と、それでも笑顔をやめないという結論には、明るい見かけの重苦しさを改めて感じた。無理に笑顔でいる必要はないというテンジョウの主張について、その正しさをも天宮が認めて感謝する場面があれば、もっと救われたように思う。今後の展開に期待したい。

対立する敵幹部としてテンジョウも登場し、天宮母を怪物化させる。怪物になることで、母は長女を家族にしばりつけている罪悪感を吐き出す。
香久矢が天宮を支えるように反論するが、そこで天宮の笑顔そのものを肯定するのではなく、周囲の笑顔を守ろうとしたと主張する。
太陽と評される笑顔が状況にしいられていることは事実だが、その状況を守ろうとすることそのものが天宮の美点ということ。


そして戦いが終わり、物語の結末で天宮は笑顔を意識的につくって家へと帰っていく。解消されていない問題を、解消されていないと明示して終わる誠実さが好ましい。
さすがに女児向けアニメとしては後味が悪すぎる感じもあったが、予告を見ると次回でテンジョウの過去もふくめて天宮は問題に再び向きあうようだ。