サスペンス性の高い雑多なドキュメンタリーの寄せ集めだが、投稿や監視カメラの映像もふくめて刺激的ではあり、TV番組としてダレなかったのは良い。
「フランス警察:ランス編」は、ノートルダム大聖堂もあるフランスの古都。しかし道路標示に麻薬の売買情報が書き込まれたり、中学生同士が抗争をしたりと治安が悪い。例によって警察力と監視カメラ*1の肯定ばかりで、
「イギリス特殊救護隊 HART」は、特別に選抜された救急救命隊をレポート。塩酸漏れを起こした工場へふみこみ、内部に空気を入れてふくらんだ防護服で、塩酸の流れ出るハッチを封印しようと奮闘する姿を見せていく。流水のように塩酸が流れ、発生したガスが視界をおおい、一夜明けると周辺住民が体調不良をうったえる。
下手なディザスター映画を超える光景だが、ひな壇のタレントが映画は現実に勝てないかのようなコメントをしたのは疑問。どこまでも事実を再現しながら、誇張や編集で新たな光をあてる実録映画の素晴らしさを思えば、けしてクリエイターが敗北をおぼえる必要はないだろう。
「危険なお仕事:エチオピア編」は、大地一面に広がる塩を掘削したり、百年前の列車をだましだまし運行する光景を紹介。前者は灼熱の世界で皮膚をただれさせながら仕事をつづける姿が胸にせまる。後者は多様な人間模様が興味深く、列車事故で片足を切断されたため運賃が無料になった少女が印象深く、なにかグランドホテル形式の映画にでもできそうな題材だと感じた。
「奇跡の生還:恐怖のダイビング」は、ニュージーランドでロブスターをとろうとしていた男の漂流劇。潜水服でひとり流されていたシリアスな事件だが、ロブスターを食べるタイミングなどが奇妙にコメディチックで、観客を笑わせていた。あまりに状況を嘆きすぎると、滑稽に見えてしまうものだ。
*1:「ボディーカムコップ」では、カメラの違う使い方も見せた。白人男性と黒人一家のもめごとで、警察が通報した一家ではなく男性に話を聞いたのはいいとして、うったえる黒人女性らを罵倒して次々に逮捕していった光景を、一家の子供たちがケータイで撮影していた映像が複数あり、それが証拠となって警官は10日間の停職処分となったという。